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「少し落ち着きましたか?」


ミルフィオーレ本部前、私達は先に歩いていた白蘭達に追いついてそう話しかけた。

話しかけられた本人は、深呼吸をしながら私の方を振り向く。少しだけ顔色が良くなったように見える……


「なんとかね……秋穂チャンっていう助っ人が来てくれたんだもの、絶対彼女を奪り還えしてほしい」

「勿論! 常連さんの依頼、この私が引き受けないわけないよ」


ポン、と肩を叩くと永四朗たちと一緒に本部へと入って行く。

私とすれ違った白蘭の表情はどんなものか分からなかったけど、安心しきっているんだろうな。それくらいしか、分からなかった。




04章:接触T




今回は、元比嘉や元氷帝、元立海に元青学メンバー……そして裏稼業のメンバー以外にも私の独断でこの場に呼んだメンバーがいるから紹介しなきゃ!

空港で会った観月さんと裕太君は、元聖ルドルフのメンバーです。特に裕太君は、青学の不二周助君の弟さん。話しかける時ややこしくならないように、前もって不二君の事を周助君って名前で呼ぶように話しておいて正解だったかも。

そして観月さんを今回呼んだのには訳があり、彼は貞治や柳君と同じで中学高校時代は頭脳派プレイヤーだったの。

だから、データマンとしての能力は二人と同等だと思ってる。だから呼んだんだ。頭脳派は多くいるととても心強いから。

そして、裏稼業で昔からお世話になっている二人の重要メンバーもこの場に呼んでいます。


「お、やっと来たなー! おせーんだよ!」


ミルフィオーレの建物内にある比較的広い会議室に案内されて、入った途端に聞こえた声。この声は……蛮君だね。


「うう〜〜! 秋穂ちゃん、助けて……!」


ビチビチと跳ねながら私の足元にやってきたのは、涙を流しながらタレ化した銀ちゃん。


「ど、どうしたの?」

「あの二人、怖いよぉ〜〜」

「二人?」


銀ちゃんが私のズボンを引っ張りながら指差す先には、精市君と……


「うん、これは覚えた。すごく簡単な術式を使うんだね……」

「そうでしょ〜? うんうん、飲み込みが早い子で教え甲斐があるわ〜〜!」


目をキラキラと輝かせて大量のビンと術書を取り出している女性が一人。

今から私が紹介しようとしている人達の一人で、あの人の名前はマリーア・ノーチェスさんと言います。蛮君のお婆ちゃんのお弟子さんで、正真正銘の魔女でもあり魔術師さんなの!

まあ、こう話を聞いて分かった人は分かっただろう。蛮君は、お婆ちゃんが魔術を使える人ということもあり……彼自身も魔術を使う事が出来るの。

彼が持つ特殊能力である『蛇眼』が一番良い例かもしれない。"ウィッチクイーン"なんて呼ばれているお婆ちゃんを持つ蛮君、彼は正当な魔女の血を引いているドイツ人のクォーターなんだよ。


「こんにちはマリーアさん、余計なことを精市君に話してませんよね?」

「あらー! 秋穂じゃなーい! 久しぶり〜〜!」


マンドレイクの入った瓶を片手に、彼女は手を大きく振っている。

一応魔女とも呼ばれているマリーアさん、魔術以外の術式も習得しているから……余計なことを喋っていそうで怖いな〜。

ハァ、と溜め息をついていると、バチッと精市君と目が合った。そして彼はニッコリ笑いながら……


「とりあえず、遠くにいても相手に念を送って一時的に動けなくさせる魔術と、軽く念じただけで相手を再起不能にできる魔術しか聞いてないから問題ないと思うよ」

「!!? いやいやいやいや!!」


私は大きく手を横に振る。その二つ、ある意味問題が発生しそうな要素がありまくりな気がしてならないんだけど……!

しかも精市君、すっごく綺麗な笑顔を私に向けてきてるし……周りにいる赤也君や源一郎さんまで顔が真っ青になってるし……恐るべし、元立海テニス部の部長さん……他の術式もあっさり習得してしまいそうだ。

しかもいつの間にかマリーアさんと仲良くなってるし、あの調子だと他の術式も教えてもらってるんだろうな……私からは何も言わないけどね。


「やあ秋穂ちゃん、ここにいるメンバーの名前と顔は憶えたから……そちらの三人の紹介を頼むよ」

「あ、はい! 分かりました、鏡さん」


続いて、クスリと笑って綺麗な笑顔を向けてくる金髪の彼は、無限城の上層部に位置する『バビロンシティ』と呼ばれている未知の域に住んでいる鏡形而さん。

観察者と呼ばれている彼は、その名の通り周囲を"観察"することが趣味と化しているようです。(本人談)

実力は蔵人兄さんと同等で、鏡の欠片を使った分身や攻撃を得意としている。そして、最近は卑弥呼さんにゾッコンのご様子……でも相手にされていないから、完全な一方通行のようです。


「――うん、景吾君に鈴ちゃん、そして旦那さんの永四朗君だね。覚えたよ」

「え、あ、はい……」


綺麗に笑う鏡さんにどう反応すればいいのか困っている様子のりっちゃん。普通に言葉を返すだけで大丈夫だよ……鏡さんの場合はね。


「では、重要メンバーが帰ってきたところで話し合いをしようじゃないか」

「そうだな。真実に気付いている奴もいた事だし、そいつらの話もしておくか」

「そんな人いたんですか、跡部さん」


国光の言葉をきっかけに、メンバーは用意してもらった椅子にそれぞれ座る。さっきまで一緒にいた桔梗さんは、一礼して会議室を後にした。あとで他の真6弔花のメンバーにも会っておく必要がありそう。


「とりあえず、ボンゴレの霧と雲の守護者は真実に気付いていると思ってくれて構わないよ。特に雲の守護者・雲雀君なんか、すっごく嫌そうな表情を浮かべてたし……ボンゴレのボスである沢田君に対してね……」

「次に霧の守護者である六道骸君ですが、傍観者のようにも見受けられましたが……彼は確実に星野さんの味方でしょう。半分勘になってしまってますが……」


私と永四朗が、続けるように話をする。


「それじゃあ、その六道って人は一応敵視しとけばいいッスよね」

「ええ、一応ですが……」


顎に手を添えて話す永四朗に、そう言葉を投げたのは世界ランク四位に位置している越前君だ。

高校時代から被っている白い帽子を少し深くかぶりながら、そう話をしてくる。


「彼もそうだけど、六道君には何人か部下がいるの。生い立ち等は後で話すから置いとくけど、その部下たちが今何処で何をしているのか……」


組織のことを快く思っていない六道君のことだ、仲間を人質に取られて行動しているという線もないわけじゃない。

個人的に、私は六道君と話をしてみたいと思う。ふと、あの時部屋で出逢っただけなんだけどね。でも、それでも。彼と話をしてみたいと思ったんだ。理由は分からない……でもね、なんだろう……彼の独特なオーラというモノかな。

言葉では言い表せない何かが、私の中に少しずつ広がって行く……


「とりあえず、今後の予定を決めようか。大まかに決まってるんでしょ?」


白蘭の声に、ハッと我に返る。考え込むと周りが見えなくなってしまうのは、昔から変わらないな……

フゥ、と息を吐いて皆を見渡して話を始めた。


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