許されたいと


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(ああ今日も死ねなかった。)
家に着いて真っ先に思うのは自分の命が無事であるのを悔やむこと。死にたくてあの場所に立ったというのに何という体たらくか。いざ死ねると思うと抵抗してしまう。本当に無様で愚かだ。自殺が出来ないから他人に命を委ねたのにそれすら、
「……はぁ。」
肺に詰まった息を吐き出し座り込む。どうやったら死ねるか、どうやって死のうか。そんなことばかり考えているはずなのに体は言うことを聞かなくて。飛び降り、首吊り、溺死に焼死、出血多量に薬物乱用、方法はいくらでもある、それなのに。
「……そんなつもりはないんだが。」
汚くて醜い自分に生きる価値なんて毛程もない。恐ろしいくらいに分かりきっていることだ。これから先、長い時間をかけ命を消費していくことに恐怖すら感じる。早く死んでくれ、早く死なせてくれ。

精々出来ることといえば、死なない程度に自らの首を絞めることと死なない程度の自傷行為くらい。緩々と自分の首に手を掛けそのまま力を込めていく。徐々に、徐々に、呼吸が苦しくなり、視界が白く霞んでいき、完全な白に変わる前に手を離す。いつものことだ。呼吸を奪われていた器官は突然の酸素に驚くのか、思わず噎せてしまう。これもいつものこと。「どうせ死ぬ気はないくせに」と、自分自身に嘲笑われている気がした。




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テーマ「人外ファンタジー」
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