若草物語 | ナノ
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  体育は合同!


午後イチの授業は三クラスが合同でやる体育だった。あたしたち兄弟が一緒に受けられる唯一の授業がこれなんだよね。サボとルフィは同じクラスなんだけど、あとはバラバラ。クラス分けって本当にうまく考えられてるなぁってつくづく思った。あのルフィには落ち着いているサボが側にいれば何となく安心だものね!



男子はバスケットボールで、女子はバレーボールだった。実はあたしはバレーが苦手!できればバスケットボールがやりたかったなぁ。


「うおりゃ!!ダンクシュート!!」
「リバウンド〜からの、えいやー!!」
「3ポイント!!」


あーららら!チーム分け、絶対間違っちゃってるね。ものすごい歓声がしたので男子生徒側へと視線を移してみれば、どういうわけかエースとサボとルフィが同じチームに入っちゃってて、相手は手も足も出せていない。あいつら、かなりスポーツ万能だからねえ。加えて長年寄り添って相手の事をよく知りあっている兄弟たち!!彼らの一切無駄のない華麗なチームワークに思わずナミちゃんと「すごい!」って言いながらそれを眺めてしまった。あまりの得点差に、もう相手は悔しいっていう気持ちを通り越して苦笑しちゃってる。バレーをしていた女子全員が思わず手を止めて彼らを見て同じく笑った。

…と、そこへコロコロとバスケットボールが転がってきたのであたしはそれを拾う。試合はハーフタイムに入ったらしい。ボールを拾ったと同時に、私はちょっと昔の事を思い出しちゃってそれを持ったまま体操着で汗をぬぐう兄弟たちに近づいた。

「ねえねえ!私も前みたいにダンクシュートやりたい!ほら、あの皆が助けてくれるやつ」

そう言うと、エースがすぐさま顔を顰めた。「ええ!!あれ、子供の時のヤツだろ!?」。そう言って首を振った。

「駄目だ!もう…お前きっとあの時より重たいし!」
「そうかぁ〜?どれ…。いーや!エース、いけるぞ!!マリそこまで重たくねえ!」
「うっわ!!あはは!ルフィ、力持ち!!」
「ッテメェ!!いきなりマリ持ち上げてんじゃねーよ!!」
「俺もイケると思うぞ〜。俺らだってあの頃より力がついてるだろうからな」


ルフィはあたしを軽々と持ち上げてニカっと笑い、サボはそれを見て懐かしそうに笑った。エースだけが少し嫌そうな顔をするも、あたしが彼らを期待を込めた眼差しで見つめ続けていると暫くした後「仕方ねえなぁ」と言ってゴール前に立った。ふふふと笑いながらやってきたサボと向かい合って、お互いが伸ばした手を交差して組み、そして二人してしゃがむ。


「ほら、乗ってみろ!」
「気を付けてな。マリ」


だから私は、よっし!と気合をいれて彼らから三歩ぐらい下がり、靴を脱ぐ。そしてボールを持つと「行くよー!」と言ってたたたっと走り、ひょいっと彼らの作った手の踏み台に足を乗せた。
「「よい……せっと!!!」」
そして彼らはあたしが足を乗せた途端にしゃがんでいた態勢から勢いよく立ち上がり、あたしの足を乗せたその手を更に上へと持ち上げる。その勢いであたしの身体はふわっと飛んだ。ボールを掲げて……そして……シュート!!!

ダン!!!「やったぁ!!」

あたしの手は難なくゴールの輪っかに届き、持っていたボールもパスッと網の中に吸い込まれていく。あはは!!嬉しくて笑った。
そしてそのままスッとその手を放して、ぐらっと落ちた先……そこには……。

ストン!!「キャッチ〜!!」

そして、落ちてきたあたしをルフィがサッとキャッチしてくれた。「うそ!」。思わず、きちんとキャッチできたことにあたしは驚いて声を上げてしまう。


「ルフィ!すっごい!!今回は持ちこたえてるじゃん!!」
「ニシシシ!!どーだマリ!!俺だってあん時より成長してんだぞ!!」


そう。昔はいっつも、最後に落ちてくるあたしをキャッチしようとするルフィは、その重みと衝撃に耐えられなくて一緒になって大地に崩れ落ちて潰れてたんだよね!あたしは怪我とかはしないから大丈夫なんだけど、ルフィはいつも「ぐへぇ」ってなってたから…今回のこの結果にはビックリ!!!
ああ。兄弟たちはやっぱりあの時より成長してるんだね。エースとサボが二人して持ち上げてくれたその威力も、前より全然違っていたもの!男の子ってスゴイ!そうルフィの腕の中で思った。


「チ…。だから嫌なんだよ!!この役割分担!!俺ら……手が痛ぇんだからな!」
「そうか?…俺はそこまで痛くもないけど、な。ククク」
「仕方ねーだろ!おれ、お前らより背が低ぃんだから飛ばす側になったら相手とのバランスが悪ぃし!」
「クスクス!!ああ、楽しかった!」
「コリャーーーー!!お前ら何やってる!!危ねぇし女子はバレーだろうが!!さっさとあっちへ戻らんか!」
「えー!先生、あたしもう一回やりたい!!」
「もうしねぇよ!!手が……痛ぇんだからな!!」
「えー」


怒ったようなエースに、あたしはあーあとため息を吐いた。
…でも、あの日の懐かしい思い出をたった一度でも再現できたから、まあそれでよしとしようかな。



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