学校に着く!
いつもよりずいぶん早い時刻に学校へと着いて、それのせいなのか校門にいた先生はあたしたちを見て驚いていた。あはは。思わず笑ってしまった。遅刻寸前常習犯だもんねあたし達。
そしてあたしは下駄箱へと近づいて自分の場所を開ける。すると、そこには手紙が入っていた。何と!今時ラブレターだ!瞬時にそう思った。
「あ」
すると、後ろからぬっと手が伸びてきてサボがそれを取り出す。「古典的な手段で印象付ける作戦か」。そう言いながらそれをひらひら目の前で揺らした。
「もう!!返してよ!あたしのだよ」
「まあまあ。せめて誰かからなのかを確認させてくれ。かなりの策士だ」
「やめてよー。その必要ある!?」
「何となく」
兄弟に思いを寄せる人間くらい知っておきたい。…なんて言うサボにあたしは顰め面してみせて彼の持つ手紙をぱっと奪い返した。
「駄目!見せない!」
「じゃあ、中身は見ないから差出人だけ教えてくれ」
「なーなー!!そういう手紙ってどんなこと書いてんだ!?教えてくれよ!マリ!!」
「もう!二人とも、それ普通に考えてどっちも教えられるもんじゃなから!!」
せっかくあたしのために書いて、ここに入れてくれてるんだよ!
そう言ってその手紙をそっと撫でると、離れた場所で靴を取り出していたエースがいつの間にかあたしの傍までやってきて、その手紙をぱっと奪い取った。「ちょっと!」。あたしがそれに声を上げると、なんとエースは何も言わずにそれをびりびりと破いた。そしてぽいっと側のごみ箱へと捨てた。
「えええーー!ちょっとひどいってそれ!」
「酷くなんかねえ。…それは呪いの手紙だ」
「え?」
「最近流行っているらしいと聞いた」
「うそ!」
「だから酷いのはそれを入れたやつだ」
「それ本当なの?!」
「実は俺も昨日もらっている」
「えー!?」
エースは難しい表情を浮かべ、あれは気分が悪い、と言いながらあたしの靴箱からうわばきを取り出すと、それを床に置いて「さっさと履け!」と言った。
「え!?本当に流行ってるの?そんな悪趣味でまさに古典的ないたずら…。小学生でも今時やんないよきっと…」
「あー、じゃあ、流行ってんだろうなあ。うん。きっとそうだ」
「ニシシシ!手紙より食い物入れるのが流行ればいいのにな!」
「馬鹿!靴箱に入ってた物なんか食いたくねえよ!」
そう言い合う三人に、やっぱりこの話の流れに納得がいかなくて何か言おうとした矢先、ホームルームを告げるチャイムが鳴ったのであたしは慌てて靴を履きかえた。「遅れる!!」。「急げ!!」。そうエースが言ったので慌ててその場から走って教室へと向かった。
…あとでナミちゃんに真相を確かめてみよう…。そう思いながら。
ガサガサ。
「さーて。どうやら差出人は二組のヘルメッポってやつらしい」
「おお。なら、今日会いに行く必要があるな」
「ああ、あいつか!あいつ確かメチャクチャ弱ぇぞ!」
「…なら話し合いだけですみそうだな」
「いや…。…それだけじゃあヌルい」
「はやくー!!遅れるよ!!」
未だに靴箱の前に立ったままの三人に向かってあたしは大声で叫んでやった。もう。せっかく余裕をもって学校に来れたっていうのに、これじゃ意味がないよ。
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