若草物語 | ナノ
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  また明日ね!



とりあえずの宿題と予習を終えて、お風呂に入ってベッドへごろんと横になった。窓からは冷たくはない、ちょうどよい気持ちの良い風がそよそよと入ってきている。
今日も楽しかったな。そう思っていると、ピロリンという音がしてスマホが光った。

 ( 予習すんだか? >(火)

エースだ!そっちこそやったのかなーとくすりと笑いながら返信。

< もちろん!そっちこそしたの? )
 ( 明日英訳うつさせてくれ >(麦)

あ、ルフィったら…。自分でやりなさいよ!

< だめ!自分でやりなさい!)
 ( その通り。たまには辞書を開いてみろ >(参謀)

サボの言うとおり!!

 ( 開いたら眠くなる >(麦)
 ( なら今すぐ開け。寝ろ >(火)
< いい睡眠導入剤だね )
 ( うらやましい特技だ >(参謀)
< あたしは数式見てたら眠くなる )
 ( おれも! >(麦)
< ルフィは全部の教科ででしょ?)
 ( 言えてる! >(火)
 ( 今日もずっと授業寝てた >(参謀)

あはは。あたしは笑った。暫くそんな他愛のないメールを送り合う。毎日会っているくせに、最後の最後まであたしたちはこうやって繋がっている。

< じゃあもう寝るお休み!)

気付けば長い事メールし合っていて、あたしは切りを付けようとそう送った。すぐさまお休みメールが兄弟たちから届いて、そしてスマホの光はス…と消えた。うーん。あたしは背筋を伸ばして布団の中へと入った。

また明日になったらルフィの家に行って、庭でお茶を飲んで、そして現れた二人と一緒にルフィの食事が終わるのを待つんだろう。明日はもしかしたらルフィは早くご飯を終えるかもしれない。もしかしたら、サボがしびれを切らして先に行こうって一番に言い出すかもしれない。もしかしたら、エースがやっぱり待ってやるか…なんて言い出すかもしれない。

〜♪〜♪

そう思っていると、スマホが着信音を鳴り響かせるとともにまた光りだした。あたしはクス…と笑う。ディスプレイを見なくても、それが誰からなのかをあたしは知っている。
操作して耳に当てると相手はやっぱり…

「エース」
『おう』

彼は必ず、一日の終わりはそうするのだ。

「さっきおやすみって言ったのに」
『言ってはいねえだろ…。俺は直接言うのが好きなんだ』
「そうだったね」


だからあたしは言った。


「おやすみなさい。エース」
『ああ。おやすみ。マリ』


そしてスマホは今一度光を失って、あたしはふふふと笑って目を閉じる。最後に聞くエースの声は、いつだって決まってとっても優しい口調なんだ。
それを聞くと不思議とよく眠れるなんて、エースはそれを知っているのかな?それは辞書よりも、数式よりも強力で優しい、声による睡眠導入剤。


おやすみ。みんな。また明日ね。


そしてあたしは電気を消した。



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