オッサン部屋 | ナノ
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▼ 若と姫様@


若様がこの家に女を連れてくるのは珍しいので、ベビー5ちゃんやバッファローたちは建物の陰からそっと彼らを盗み見てはその女を品定めしていた。

「今回もまたボンキュボンの美人だわー」
「若は相変わらず黒い長髪が好きだすやんね!」
「バブー!」
「…あんたら覚えてる?プランAだからね」
「あれ?若、Bって言ってなかった??」
「Bだすやん!」
「Aよ…。変更するって言ってたの忘れたの?」
「そうだったかなー」
「そうよ。ほら、バッファローアイス!Aを実行するベビーが私には必要よ」
「うん!(必要とされてるvv!!)」
「あ…、そうだすやんね!うん!A!」
「おい…ミナ」
「黙れロー。あんた殺されたいの?」
「…いや」


若様はそして居間へと女を通し、椅子を引いてやって座らせている。私はそれを窓からキっと睨みながら眺めた。そして肩に手をあて、何やらきっと甘い言葉をささやいているであろう若様の、その顔が女へと近づこうとした矢先にバーンと部屋の扉を開けて中へと侵入してやった。


「パパ!!その人だれー??新しいママ!?」
「!おい…!」
「パパー!お腹すいたっ!ごはん作ってだすやん!!」
「パパ!パパ!遊んでーー」
「バーブー♪」
「…パパ」


私たちの侵入に、若様は盛大に驚いた顔をして見てわかるほどに焦っていた。女もまた驚いた表情を浮かべ私たちを一瞥すると、若様に怒ったような視線を向けていた。


「子だくさんなのね」
「いや…、これはだな…」
「しかも、それぞれ母親が違うみたい」
「ああ…まあ、…そうだな」
「いろいろ複雑そうね。…あたし面倒は嫌いなの」
「ああ…」
「あたし帰るわ。…さようなら」
「…あ、ああ…」

女は不機嫌をあらわにした顔を浮かべ、そして椅子から立ち上がると香水の匂いをまき散らしながら去って行った。私はそいつの背中にべぇ!と舌を出してやる。若様はクソ…と舌打ちをして頭を抱えていた。


「お前ら…、俺は今日もし知らない人に会ったら俺の事を『兄様』と呼べと教えたよな?プランBだ」
「えー!でもミナはAって…」
「…ミナ…お前か元凶は…」
「そうだったかな!?」


とぼけた顔をしてそう言うと、若様は「…ミナ」と私の名を呼びながら首根っこをひっつかんで私を持ち上げた。…苦しい。ベビー5ちゃん達はそんな私を見るとひぇーと言いながらその場から逃げて行き、そしてわたしと若様の二人きりになった。


「お前は…、もっと賢いガキのはずだろう?」
「ガキじゃない…よ!!女だよ!そんでもって、若様の許嫁だよ!!」
「俺はそんな事了承してねぇ!!それに…いい女はな、言いつけを守ってあの状況を静かに見守れるはずだ」
「え!?そういうものなの!!??」
「フッフッフ…、そうだ。いい女ならば、な」
「うん!わかった!兄様!」
「もう遅いわ!!」


ぽーん!


そして私は容赦なく若様によって外に放り投げられた。


…とある日、私はここへと連れてこられて若様の許嫁として暮らしている。
日々花嫁修業で忙しい中、若様は私という存在がありながら日々女遊びに勤しんでいる!全く持って許せない。でも仕方ない。だって私はまだまだ年齢が小さいから…。だから…私は…。


もっといい女にならなくちゃ!!
そう誓った。
だから待っててね若様!



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