オッサン部屋 | ナノ
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▼ 若と姫様J

今日も若様はヤバイかっこよさでお茶を飲んでいた。
午後のティータイム。今日はおやつどきという時間にも関わらず珍しく全員が食卓についていて、グラディウスが最近はまりだしたスイーツ作りにより焼いてもらったクッキー(アイシングでファミリーのシンボルが入っている!)を食べながらまったりしているところだった。ああおいしい!幸せ!
私は「甘ェ…」と顰め面しつつもバクバクとクッキーをかじる若様にとろんとした視線をむけた。甘いものは嫌いだと言いつつも、きちんとサーブされた分を食べている若様って素敵☆ちなみにグラディウスはみんなに腕前を褒められて、嬉しさを隠すあまりにもう破裂寸前だ。

「…ミナ…。いつも言ってるが食ってるときに顔をしげしげ眺めるのは止めろ…」

若様は私の視線に気が付くと、イラっとした顔でそう怒ってきた。私がえへへとそれに笑い返しながら「だってー。夫の顔ってずっと見ていたいじゃん。ときめくし!」…と言うと、若様は更にイラっとした顔で私を盛大に睨みつけた。そして言った。


「テメェ…。前々から思っていたが、もっと…別の奴にときめいたりしねぇのかよ…。俺みたいな一回り上の奴じゃなくて、年の近いやつがもっといるだろうが…」
「えぇー」

私はそのセリフにブゥ…と頬をふくらませながら若様から視線を別の人間へと移してみる。

「うーん。でもわたしドジな人はちょっとなァ…。遺伝子レベルなら好きになれるはずなんだけどねぇ」
「馬鹿野郎…。なんでこの話の流れでロシィ(二十三歳)が出てくるんだ…よ!!」

若様はダアァ!!と唸りながら私の顔を両手で挟み、グキっという音がしそうな勢いでとある人物の方へと無理やりに顔を向けさせた。そこにいたのはもう破裂寸前でしかないグラディウス(十七歳)。

「あー。グラディウスねぇ。…うん、まあ、悪くはないんだけど、あいつ時間にうるさいしさぁー。料理の事もこだわりが激しいし…。細かい男ってうっとうしくて好みじゃないよ。それにやたらと破裂するから危ないしー」
「ミナ…。ひでぇ…」
「…まあその通りだな…。じゃあ…」
グキ!
「うん。バッファロー(十四歳)は嫌いじゃないよ!優しいし♪」
「だだだだすやーん!!」
「でも前歯がデカいからヤダ!子供に遺伝しちゃう!」
「えええ!そりゃないだすやーん!!」
「ク…(笑)」

私はフゥ…と息を吐いた。
そして一人まだ顔を向けていない人物の事を思い出して、そこに目を向けてみる。
じぃ…。
私の視線を受けとめたその人物は、そんな私をまっすぐに見つめ返してきている。
嫌いじゃ…ないんだよね。うん。あ、もしかしたら好きのほうが強いかも。
だって一緒にいると…とりあえずは楽しいもの。

スコーーーーン!!

けれど突如としてそんな私の頭に若様の拳骨が落とされた。そして叫ばれた。

「お前は馬鹿かァアアアア!!何でデリンジャー(0歳)をじっと見てんだよこの流れでェエエエ!!!」
「バブ!?」
「いやぁ…。デリンジャーかわいいし、将来期待できそうっていう意味で…」
「アホか!!!相手は赤ん坊だろうが!!しかも闘魚とのハーフだァアアア!!!」
「種族の違いは気にしないよ。…それに、トレーボルが『育てる楽しみ』があるって言ってたし…。これから私好みに育てれば…」
「お前一度死ねェエエ!!この不健全野郎!!!」
「あ!そういえば若様は今絶賛わたしを育て中ってことだよね!!ね!わたし期待に応える成長してる?してる??」
「うるせェエエエ!!育ててねえわ!!!ダアアア!!クソ!!とんだティータイムだァアアア!!」

若様はそう言いながらガッシャンとカップを受け皿にたたきつけるようにして置くと、けれどきちんとごちそうさまはしてその場から去って行った。ふふ。きちんと本日の糧に対する感謝の気持ちは忘れてないね!

「やっぱり、若様が一番だなァ〜♪」

私はそんな若様の背中を見てそう呟いた。


年齢なんて、気にしたこと今まで一度もなかったよ!
これから何年たとうとその差は縮まらないけれど、心は誰よりも近くに寄り添うからね♪
だから受け止めて、若様!!




「…俺の事を見もしなかった…俺の事を見もしなかった…俺の事を見もしなかった…」
『きにするなロー』
「グラディウス、バッファロー、俺を飛ばしてデリンジャー…グラディウス、バッファロー、俺を飛ばしてデリンジャー…グラディウス、バッファロー、俺を飛ばしてデリンジャー…」
『きっとチビだからミナに見えてなくて…』
「チビ言うな!!クソ!!」



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