オッサン部屋 | ナノ
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▼ 鷹と翠

ある日突然彼女に俺は告白した。

「お前の敵はこの俺だ。お前の両親は俺が殺した」
「知ってるよ」
「意外なり。…そう言うと思ったか女。実はお前が知っている事を俺は知っていた」
「知ってるよそれも」
「なんと…。うん?して、それはどういう意味となる」
「知っている事を知っていたのを知ってた。うーんややこしいわね。結局、今までと変わらないってことじゃない?」
「成程」
「ねえ知ってる?死ぬよりも生きている方が辛いんだって。だからね、これはやっぱり復讐なの。あたしはあんたを殺さない。あんたは生きて、あたしを見てちょっとでも良心が痛むことがあればあたしの勝ちなの。あんたはあたしを殺さずに生かしてる。まあ、そこでもうある意味あんたの敗北は決定よね」
「成程。しかし俺の気が変わるという事も考慮すべきであろう。さて運命よ…あの時遺された命。ここまでかあるいは…この黒刀からどう逃がす…」


女は俺の膝の上で笑う。俺のその言葉に何とも思っていないようだった。
俺はふ…と息を吐いて、抜きかけた黒刀を鞘に戻した。


…とりあえず、この先ずっと、俺は膝の上のこの女を愛でることにした。初めて会った時から変わらない、翠(カワセミ)と同じ色をした美しい髪を持つ女だ。


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