オッサン部屋 | ナノ
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▼ 若と姫様F


今日も若様は色っぽくお風呂に入っていた。
曇りガラスの向こう側、檜の匂いのする湯気を吸いこんで私は扉をノックする。


「若様!お背中お流ししましょうか!?」
「だあああ!!何だーーー!ミナか!!入ってくるなァア!!!」


ガラガラと開けた扉の先、若様が盛大にそう叫んで慌てるようにして湯船につかった。あ…当然だけどサングラスとってる。うふふ。素顔なんて超レア!かっこいい!
私はほう…と惚けた顔をして若様を眺める。若様はそんな私にスコーーンと桶を投げつけた。ストライク!私はそれをさっとキャッチする。


「嫁の務めとして…」
「いらんいらんいらん!!今すぐ出ていけ!!!」
「使用するタオルはラパーンの毛で織った高級品だよ!?気持ちいいと思うよ!」
「そういう問題じゃねえーーー!出てけ!!今すぐ!!一人で入らせろ!!」
「えええー。せっかく練習したのにぃ…」
「待てちょっと待て。…練習って何だよ」
「不快に思わせないように事前に練習しておいたの。気持ちいいってお墨付きもらってるから安心していいよ!」
「安心って…そうじゃねえ!!だだだ誰相手に練習したんだよ…。ベビーか?」
「ベビーちゃんじゃ背中の面積が全然違うじゃん!もちろん体格の似た男の人だよ!」
「おいおいおいおい…、本気かそれ本気なのか!!」
「そうだよ!だからせっかく来たのにーあーあ残念」

私はため息を吐いて扉を閉めようとする。が、それは若様の能力、イトイトの力で止められた。「待て…」苦しそうな声でそう言いながら。


「お前は…まさか…まさかとは思うが……その…練習中の恰好…というのは…」
「もちろん裸…」
「クソが!!ありえねえぞ!!!」
「ちゃんと聞いてよ!もちろん裸じゃないよ!ついでだからサウナスーツ着て発汗ダイエットしたんだー♪」
「おおお、そうか…」
「だって肌を最初に見せるのは若様って決めてるからね!!トレーボルがそうじゃなきゃ許嫁として認められないって言ってたし」
「だから許嫁じゃねえって…何度も…」
「だからだいじょうぶなの!貞操は守ってるよ!安心して若様!」
「……いや、すでに男と風呂にって時点で…ああ……もう…いろいろとツッコみたいところばかりで大変だ」
「つっこむ!!??いやん…若様…まだ早いよ…。あと四年待って」
「…だあー!!意味が違う!違うしテメェ前は知らなかったくせに今はもうわかってやがんのか!!??」
「わたしも十四歳になったからね。そのくらい…もう知ってるよ」
「ああ…誰が教えたんだクソが……。そして誰の背中を流したんだ……。いろいろと面倒くせぇええ…。う……、クソ…水中に長居は……辛ぇ…」
「大変!!若様ーー!そういえば水苦手だったーー!!死なないでーー!練習相手はロシナンテだよーーー」
「!!ーーーぶくぶく」


私は慌てて駆け寄って、若様の首根っこを掴むと一生懸命引っ張り上げた。
ぽーんと引っ張り出してあげたいところだけど、重たい若様相手じゃそれも無理!私は持っていた高級ラパーンタオルを若様の大切な場所に隠すようにかけると、お風呂の栓を抜く。
うーん。弱った若様も素敵。そして目の前にある胸筋も素敵♪というか、裸が全部素敵!!!


「ッッ!!ぐは!!ハアハア!!三途の川が見えたぞ!!テメェ!!もう風呂場に現れるなァアアア!!!!」


そして意識の戻った若様は私の首根っこをつかむとお風呂場の窓を開けて外に向かって私を放り投げた。


ぽーーーーーーーん!


あー!もっと裸体を見ていたかったのになぁ…。まぁ、いつかじっくり見られるからいっか!



…昨日の晩、お風呂に入ろうとするロシナンテを捕まえて背中流しの練習台になってくれるようお願いした。ロシナンテは驚愕の顔をし、傍らにいたローをずいと私の前に差し出す。そして紙片も急いで私に握らせた。
『ローにしておけ!!』
「だめだよ。ローはチビだもん。背中も小さい」
「うるせえ!!チビ言うなって何度も…」
『じたいさせてください』
「えー!お願いだよー!ロシナンテー!!わたしサウナスーツ着るからさー!こっちは肌見せないからいいでしょー?」
「そういう問題じゃねえだろ!」
「そう?」
「別に風呂の中じゃなくてもできるだろうが!!つもりでやれ!部屋ん中で!」
「あ、そっか!そうしよう。じゃあロシナンテ!ここに座れ!」
『ハイ…』

そして脱衣所で上半身の服をひっぺがしたロシナンテを練習台にしてタオルを動かした。ついでにサウナスーツも着ておく。最近少し太ってしまったからなー。ダイエットにもなれば一石二鳥だ。
それにしても大きな背中!!背格好は若様とほぼ同じだから、若様の背中もきっとこんなだね。

「ねえ気持ちいい??ロシナンテ!どう!?」
『いいです…』
「なんだか気持ちこもってないなぁ」
ぶーと頬をふくらませていると、ロシナンテは慌てたようにして次の紙を渡してきた。
『どうしてサウナスーツ?』
「ああ、これ?ダイエットだよ」
「お前そこまで太ってねえじゃん…なんでだよ」
「だっていつかわたし若様の前で裸になるんだよ!?スレンダーでありたいじゃん。だから今から身体づくりも頑張るの!」
「でえええ!!マジかよおまえ!!…ほんっとに、あいつの嫁になる気でいんのか!?」
『…すごいな』
「あたりまえでしょ!?わたしそのために生きてるんだから」
「…」


そう言い放つと、ロシナンテとローは黙ってしまった。
だって本当の事なんだから、そう言って当然でしょ??


私は放り投げられた先で自分の腰をさすった。くびれ、できてるかな??身長もそうだけど、今の私の身体全体に成長期による変化が起こっているのを知っている。


もっと×七、いい女になるからね。なっているからね!
だから待ってて若様!!



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