柳に鬼の手 | ナノ
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嫌われる男達

食事をしていた蕎麦屋に偶然炭治郎君と冨岡さんが現れた。何でもざる蕎麦の早食い勝負をするらしい。
ニコニコしている炭治郎君と無表情の冨岡さんの組み合わせが何だか面白くて、しかも何故早食い勝負をする事になったのかが疑問で、私はその勝負を見守ることにした。

ズルズルと勢いよく蕎麦をすする二人。
その姿を笑って眺めながら、私は手探りで捉えた湯呑みを口へと運んで中身をごくりと飲み干した。
…あれ?
すると何だか味がおかしいことに気付く。「あ、それ俺の酒!!」。すると隣に座る客の怒声がした。
慌てて持っていた湯呑みを見やるとそれは私の湯呑みではない。隣の客の湯呑みだった。
それは焼酎か何かだったのだろうか?キツいお酒の刺激が今更になって喉を焼き付けた。

「…さくらさん?!?」
「…ッ!さくら!」

グラ…
そして私はすぐさま視界がおかしいことにも気がついた。
ぐるぐる回る世界の中で炭治郎君と冨岡さんが慌てた様子で私の名前を呼んでいるのだが、目が回って彼等の姿が捉えられない。

…ちなみに飲酒はこれが初めてであった。
どうやら私はかなり弱い体質だったらしい。




「…何してやがるゥ。竈門、冨岡ァ」
「あ!不死川さん!」

何なんだ。
何で冨岡がさくらを抱え、竈門と共に歩いているんだ。
一体全体どういう状況だ??
どうしてさくらは顔を赤くしてニヘニヘ笑いながら寝ているんだ??

竈門は俺と目が合うなりパアッと顔を輝かし、傍の冨岡は相変わらず何を考えているのかわからないツラをして俺を見ている。
合同任務だったのか??
いや、そんな報告はなかった。

「良かった!不死川さん!!さくらさん、酔って寝ちゃったんです!不死川さんの家に送り届けても大丈夫ですか?」
「ハァ?」
「だってさくらさん不死川さんの家に住んでいるんですよね??俺、そういえばふたりから同じ匂いがするって気付いたんです!だから一緒に暮らしてるんですよね??」
「違ェよ黙れ。再起不能にしてやろうか竈門ォ」
「えぇ!?でも!同じ匂いが…」
「…そんな奴その辺に捨てておけ」
「わかった。ならさくらは俺の家にとりあえず連れて行く」
「…何だとォ」
「えええ!でも冨岡さん!ふたりからはですね!同じ匂いが!」
「女子をその辺に捨ててはおけない。俺の家は広い。寝かしておくに問題はない」

何の感情も読み取れない顔をした冨岡が静かにそう告げた。
「んー」
抱き抱えられたさくらは呑気にムニャムニャ言っていて、起きる気配はない。

「行こう」
「でも!ふたりからは同じ匂いがっ!」

そしてスタスタと歩いて行くふたり。

酔った、だと??
昼間から酒を飲んだっていうのか??
こいつら一体さくらと何してやがったんだァ…??