柳に鬼の手 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

たかる女

町を歩いているといい匂いのする蕎麦屋の前を通りかかったので思わず足を止めた。
そうだ!任務の前に腹ごしらえでもしよう!
そう思った私はガラリ、その店の引き戸を開けた。

「あ、不死川」

すると、中に不死川がいた。
どうらや彼も任務前の食事に来ていたらしい。
開店直後であるこの店の客は不死川ひとりだった。
彼は隅の席に座っていて、私と目が合うなり露骨に嫌な顔をした。

「クソ。面倒な奴に会っちまった…」
「何それ!一緒に食べようよ!あ、すみません!天ぷら蕎麦ひとつ!」

私はそう言って不死川の目の前に座る。
ニコォ♪
頬杖をつきながら不死川に笑いかけると、彼は盛大なため息を吐いてフン、と私から目を逸らした。
そして目の前に既にきつね蕎麦が置いてあるのに、何故だか彼はその後腕を組めば苛々と視線をあっちこっちへやっていた。

「ああ、不死川って猫舌だったね」

食べ始めない不死川に私が、そういえば…と笑いを噛み殺しながら指摘すると、「ッ五月蝿え!」。ダンッ!と机を叩いた不死川が私をきつく睨みつけてきた。でもその顔には僅かながら気恥ずかしさが窺えるので可笑しい。

「フーフーしながら食べればいいじゃん。見られるの、嫌なの?」
「ハァ??!五月蝿えっつってんだよさくら!!黙って食え!」

そして不死川は壊す勢いで拳を机に叩きつけるので店主さんが怯え顔である。おお、怖!!これ以上はそっとしておこう!

「あーはいはい、そうしますね」

私はそう告げてクス、と笑えば運ばれた天ぷら蕎麦に箸を沈め、「お先ィ!」、不死川より先に食べ終えた。



「じゃ、私行くね?お会計よろしく」
「テメェマジで巫山戯んなよ」





不死川兄が猫舌だったら萌えるよね、って話