柳に鬼の手 | ナノ
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盛夏のふたり?

*伊之助ほぼ出てきません




お化け屋敷の入場券を本当にたくさんくれるから玄弥にもあげた。お兄さんと、弟妹ちゃん達の分もだ。
そんな彼等と遊園地で会ったのはとある日の夕方付近だった。
バイト仲間たちより一足先にあがらせてもらった私が敷地内を歩いていると、妹と弟の手を引いて歩く玄弥と会ったのだ。

「げ、さくら」
「やっほー、玄弥」

私と目が合った玄弥は何だか気まずそうだ。「兄ちゃん、この人誰ぇ?」。傍の弟たちは好奇心からなのかわくわくした顔で私を見つめている。

「券くれた奴だよ。お前ら、お礼言え」
「わぁ!お姉ちゃん、ありがとうございましたっ!」
「どういたしまして!ふふっ!玄弥、ちゃんとお兄ちゃんしてて偉いね」
「うるせぇな。さくらが券なんかくれるから仕方なく来てんだよ。こいつら、連れて行けって毎日うるせぇし」
「えぇー、兄ちゃんだって楽しみだって言ってたじゃん」
「だ、黙ってろ就也!」
「よかったねぇ連れてきてもらえて。あれ?実弥さんは??」
「兄ちゃんはねぇ!売店に行ってるの!あのね!私はこと!お姉ちゃんは?」
「初めまして。私はさくらです」
「ねえ!さくらちゃんは玄弥お兄ちゃんの彼女?」
「ッッ!須美ィッ!!」
「玄弥はね。友達だよ」
「と、友達じゃねぇよっ!」
「えっ?そうなの玄弥??私たち友達じゃないの?ひどーい」
「い、や!そうじゃねぇッ!そうじゃなくて!!」
「何で兄ちゃん顔赤いのー?」
「えー、兄ちゃん、このお姉ちゃん嫌いなの?」
「嫌いじゃねえよっ好きだよ!ちゃんと友だ、…ん?ッッ!あああ!そうじゃなくてっ!」
「好きなんだね!」
「兄ちゃんの好きな人なんだ!」
「違ぇよ!ただの友達だっ」
「あはは、玄弥どうしたの?」

囃す弟たちに囲まれながら慌てふためく玄弥に私は噴き出してしまった。いつも学校ではツンツンしてるのに、今日の玄弥は何だかかわいいや!
「玄弥たち、お化け屋敷まだでしょ?行く?」
「行くけどお前は帰れよ」
「わあいお姉ちゃんも行こー」
妹ちゃんのひとりがにこにこと私の手を引いたので、「うん、いいよ!」。頷いてみせれば玄弥は更に気まずそうに唸っていた。
「帰れって…」
「いいじゃん。炭治郎達以外に玄弥の反応も見てみたいしぃ」
「鬱陶しい奴め」
「あ、そういえば伊之助どこ行ったかな??」

一緒に仕事を終えた伊之助。さっきから姿を見ないやと思って辺りを見回す。あ、売店の所で実弥さんといるなぁ。…何だか話し込んでるみたいだし、彼等はとりあえず置いて行こうか。
「よし行こう、玄弥」
「…ッし、仕方ねぇな!」
「わーいわーい」
弟たちは嬉しそうに私の左右の手を握った。



売店。
「離せこの野郎ッッ!あいつら行っちまうだろうが!離せッッ!急に何なんだよ!お前、玄弥の兄貴か?!手を離せェッッ!」
「まあ待て猪突猛進野郎。お前はしばらくここでお座り、だ」