超短編!(令和〜) | ナノ
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落ちてたランプを拾ったら中に魔人がいました。

とある洞窟の中でそのランプを見つけた時は飛び上がるほど喜んだよね。これ知ってるー!擦ったら中から何でも願いを3つ叶えてくれる魔人出てくるやつー私ラッキーィイイ♪今日から億万長者だよっしゃ〜!!
うきうき気分で薄汚れたそのランプの側面を擦ってみるともわわわーっと煙が出てきて、「ぅぉぉおおおお〜!!!」、そんな声とともに予測通り魔人さん登場しましたー!!え??名前はルフィ?オッケールフィ君!さあ私これから願い事言うよ!聞き逃すなよっ!はい!私5兆円欲しい!

「んぁあああっ!ひっさしぶりの外ォオオオ!うわーお前ありがとうなあ!おれ、ずーーーっと窮屈なランプの中に閉じ込められててもう少しで死ぬとこだったんだー!あぁああああ!肉食いてェエエエーー!なあなあ!今からバーベキューしていいか?仲間呼んでいいか??な?いいだろーー???」

ランプの魔人、ルフィ君は私の声をかき消しながらそう言うと、「宴だぁああああー!」、返事も待たずに指をパチンと鳴らせばあっという間に洞窟前スペースにお肉満載のバーベキューセットを出現させた。あと、彼の友達らしき人も数人。あのー料理500人分くらい出てきたけど大丈夫??え?自分で450人分は食べるから問題なし??その前に私の願い事は??え?無視??私あなたの救いの神よ?もっと崇めたほうがよくない?あ、聞いてない。
「うっめぇええええー!!!」
ルフィ君は私を無視したまま目の前のお肉を引っ掴んで食べ始めれば「はううー♪」と唸っていた。モリモリ、ガツガツ。モグモグ、ガツガツ。あっという間にうず高く重ねられていくお皿に唖然とするよ。まあいいけどね。落ち着いたら私の願い事聞いてよね??あのね私は5兆円が…
「…ぅぅ」
すると、急にピタッとルフィ君が食べるのをやめたかと思えば、ぐすん、いきなり泣き始めた。最初はほろほろと落ちていた小さな涙はやがて大きな粒となり、「うぁあああああんん」、嗚咽をこらえていた彼は今や大声でむせび泣いている。どうしたー彼の情緒ーー!?
「ど、どうかしまして?」
「せ、っか、…く、こんなにもっ…楽しいのに…、ま、また、…またランプに…ッヒック、戻んなきゃなんねぇとか…つらくてッ、う、うああ、うあぁあぁあっ」
「…」
「自由になりてぇよぉおおお!うぁああああん!」
「…」
「おれ、…ッ、海賊に…ううっ、なりたかったんだよぉーッ…ヒック、なのによぉ、…いつのまにか魔人にッ…ッ、なってて、よぉー」
「…」
「…グスグスッ、…それにっ、…自分じゃどうしようも、できねぇんだよぉーッ…ウゥッ」
「…」
「だ、誰かがッ、それを願ってくれねぇと…ウック、ヒック…ッ、おれ、またずっと…ッ…ランプのなか、…っうわーん!」
おーんおんおん
ルフィの号泣は止まらなかった。止まってた箸は動き出してまた食べ始めてはいるけど。ヨシヨシ。そして彼の友達という人たちはそんな彼を慰めつつちらっちらっとまるで私を悪者のように見てきてる、よ?何なん??この状況、何なん??
「…………………………………………
……………………………………………
……………自由に……おなり」
「へ?マジ?」
「はい」
「う、うあああああああーーーー!あ、ありがとなぁ!!!」
もう、何なん?こんなんズルいわ。信頼関係凄そうな友達引き連れて、彼らを前にまた会えなくなるの辛いって泣くとかズルいわ。あ、でもあと2つはチャンス残ってるもんねーってうぉおおおーい!どこ行ってんのルフィさーーん?!!そっち海ー!海の方角ーーっ!私の5兆円ーー!待たんかーーい!
「ん!待ったぜ!願い事あと1個な!」
「え!?」
…もう、何なん( ;∀;)??


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