超短編!(令和〜) | ナノ
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#ちょっと私の彼氏見て

ファストフード店で向かい合って座っていると、エースがそわそわした様子で私に言った。

「な、こういうのさ、リンスタ映えになるんだろ?」
「ん?」

エースは最近になってようやくリンスタ映え≠ニいう言葉を覚えたらしく、だからだろうか?、やたらと使いたがる。
と言っても今目の前にあるのは何の変哲も無いハンバーガーとコーラだし、全くフォトジェニックではないぞ?なので私が少し冷めた目でエースを見遣れば、そうじゃなくてさ、とどことなく照れながらそう言ってエースが私の手をそっと握ってきた。

「ほら、こーやって男と手ェつないだとこだけ写して載せるんだろ?デート中、とか書いてさ」
「あー、私そういうの、あんまり好きじゃないんだよなあ」

エースのやりたいことはわかったが、私は苦笑しながらすぐさま首を振った。リア充自慢みたいだし、そう言って握られた手を引っ込める。するとエースはわかりやすく落ち込んだ。「そ、そうか」。がくん、と肩を落として拗ねた顔をして、そして寂しそうにハンバーガーの包みを開けている。エースってばそういうのに憧れていたのか。私はまた苦笑した。…そうね。そういうのは好きじゃないけど…。
バクン!…カシャ。
私はエースが思い切りハンバーガーにかぶりついたところでそっとカメラのシャッターボタンを押した。
「ふへ?!ッはんはよ?!」
ひと口で半分以上無くなっているハンバーガーを手にするエースに、私は思わず吹き出した。
さっきまで寂しそうにしてたくせに、ほらコレ見て?食べ物を口に入れる瞬間のエースは本当にいい顔をしてる。

「ははっ。すっごいいい写真とれた。これアップする」
「はあー?やめろよ」

私はクスクス笑いながら、エースの言うことを無視してスマホを操作し、リンスタにキャプションを入力した。
ねえ?これでエースは機嫌を良くしてくれるかな?
あ、何だかんだで結局彼氏自慢しちゃってるね私。

#リスみたいな頬袋
#いい食いっぷり
#寝ないでね
#イチ押しの顔
#大好き


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