超短編!(令和〜) | ナノ
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思わず空を見上げちゃったよね

例のあのCM



「え、じゃあそれ、受けるの?」
「ああ。そのつもりだ」

ある昼休みゾロから突然に告げられたのは、思わず「本当に!?」と二度聞きしてしまうほどのあり得ない話だった。
何と有名な食品会社の新しいCMへの出演依頼がゾロにきたらしいのだ!

「電話がきて、出てくれって言われた」
「えー!」
「剣士の役で」
「わー!ゾロ、剣道で全国大会優勝してるもんね!!それで目をつけられたんだね!!」
「まあ、脇役だけどな」
「で!?主役は本当にルフィなの??あの人気俳優の!!」
「ああ」
「信じられない!しかも撮影するのこの高校でなんだよね!!すっご!!ルフィがウチの体育館に来ちゃうの!!??ヤッバ!!私死んじゃう!こっそり見られるかなあ!!」
「エキストラで生徒も参加できるって」
「えーーーーーー本当に?本当に???!!」
「そう聞いてる」
「うわあ!やったあ!!私、生きててよかった!」

くぅううう〜〜

私は溢れ出る喜びを抑えきれず、ゾロの隣で唸りながら身体を震わせた。
大好きでたまらないルフィ様を生で見られるなんて!尊みがすぎる!親友の存在万歳だよ!でも何でOK出したんだろ??普段はそういうの好きじゃなさそうなのに!

「…だってお前、前からルフィが好きだ好きだって言ってただろ?」

私が聞くとゾロはふん、と鼻を鳴らして私から目を逸らし、飲みかけの牛乳のストローを再び口に咥えた。「え!私のために??」。思わず口元に運びかけていたパンを下ろしてゾロに詰め寄る。ゾロは小さく舌打ちしてうざそうに私から身体を少し離した。「何それ。ゾロ、好き。愛してる。本気で」。きゃー。私は離された距離以上にゾロに詰め寄ってそう言うと、腕にぎゅーっとハグをした。ゾロはまた舌打ちだ。

「お前…」
鬱陶しい、と腕を払われるかと思った。が、そうはされなかった。
ただ彼はいささか上ずった声で私の名を呼び、ハグした腕を動かして私の頭をくしゃっと包めばこう言った。

「当日は…ルフィじゃなくておれを見てろ」
「!」
「わかったな」
「…」

…どうしてだろう。
太陽が眩しいし、顔が熱いし、さっきから心臓がバクバクとうるさいし、うわあ、ゾロの顔がすっごい近くにあるし…。
あ、そ、空が青いなぁ!


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