超短編!(令和〜) | ナノ
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◯◯の娘

「お前が育てろ」

ある日私たちのアジトにエースという名の赤ちゃんを連れたガープがやって来てそう言った。ダダンは突然のそれにかなり激怒していたけれど、奴には頭が上がらないらしく渋々その子供を引き取っていた。マジ?…が、その後ダダンはその赤ちゃんを私に押し付け「お前が何とかしな」と過激なひと言。えー!それ酷くない?ガープはアンタを頼って来てたのに?それに仮にも私、アンタの子、棟梁の愛娘なんだからもっと大切にされるべき存在じゃない??しかも私まだ5歳よ?こっちもまだまだ世話されないといけない身じゃない?
「うるさいね。黙りな」
それなのにダダンは私の抗議に聞く耳なんて持たず知らんぷり。だからその日から不本意にも私の試行錯誤子育て奮闘の日々が始まったのである。しかも?何?何年かしたらガープは孫のルフィを連れてやってくるし、当然ながらその子も私に押し付けられるし、さらに年月が経てばエースの友達という歯の欠けた子供までやってくるしその世話は当然私だし。というわけで私は10代にしてオカンの貫禄漂う美少女になっていましたとさ!ええいもう!まとめてかかってこいやァ!!



「おい!エマ、結婚しよう」
「いや、おれと結婚するんだ」
「ケッコン?じゃあおれもする!」
「…」

さて。歯の欠けた子、サボが加わってから数ヶ月後。私が育てた少年達は逞しく育ち、彼らは私を母のように慕っていました……とは何故かなりませんでした!彼らはどういうわけか私をひとりの女として扱うようになっていました!いったい何のバグ??
彼らはとある日から、山のどこかで摘んだ草花と仕留めた野ウサギなんかを携えて日々私に求婚をしてくるようになった。いやあ確かに私はダダンと違ってスタイルもよくて顔も可憐で山賊っぽくないけれど、エースに関してはおしめを変えてやったりお風呂にいれてあげた相手だよ?それなのに彼は私から受け取った愛情をどうにも妙な形に変換→脳内保存しているらしく、私に向けられるその眼差しはいつも熱っぽい。後入りのもサボもそうなんだよね何故そうなった??わからない!ちなみにルフィは2人の真似をしているだけだねそんな感じだね。
ともあれ、3人は結婚しよう海賊になろうと言っては毎日私に貢ぎ物をくれる。しないよ、ならないよと言ってはぐらかす日々だけど、彼らが大きくなるにつれて貢ぎ物の野ウサギは鹿に、鹿は猪に、猪は熊に…と獲物もまた大きくなっていく事に関しては成長を感じて少し感動してみたり。サボは添えてくる花をタンポポから薔薇に変えてくるあたり此奴他者と一味違うな、と感じてみたり…。だかしかし私はダダンの娘、いずれは棟梁。彼らが目指す海賊には当然なれるわけがないので今日も今日とて元気に求婚してくる3人に私は言った。

「あのねぇ。キノコに毒があるかどうかその選別もできないでお腹壊してる奴らが山賊の私と結婚できるわけないでしょう??悪いけど他あたって」

その日私はたまたま皆の食料としてキノコ狩りをしたところでありその籠を持っていた。するとエース、サボ、ルフィはそれを聞いてぐぬぬ、と黙りこくってしまった。咄嗟に言ってみたってやつだけどそれは案外効いたらしい。その日から何と、彼らからのあからさまな求婚はなくなってしまいましたとさ!おしまい!少し悲しいかって?いや、そんなことはないよ、うん、ないよ!

で、それからさらに数年が経ち、彼らはこの山を出て行って……そしてまた帰ってきた。それぞれが花と貢ぎ物を持って。すっかり成長した、大人の顔をして。

「「「キノコは克服した!だからエマ、結婚しよう」」」

彼らは本当に…成長していた。
ルフィはキノコの毒、というか毒全般効きにくい系男子になっていて、エースは毒だろうがなんだろうがおれロギアだし大丈夫だろ!つーか、燃やすし!系男子になっていて、サボはキノコの本を読みまくった挙句博士並みとなった知識を携えてる、しかもNo.2系男子になっていた。

「「「誰と結婚するんだ?選べよ!」」」
→ エース
  サボ
  ルフィ

「…」
…とりあえず、まあ、なんだストップだ。色々と何かが違うことはとりあえず置いておこう。

皆…本当にすっかり大きくなったね??
そこには本当に感動してて、今私は号泣寸前だったりするんです。


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