超短編!(令和〜) | ナノ
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◯◯◯の娘

私はある日突然異世界転移なるものをした。お父さんが漂流し易い体質だったのが見事に遺伝したらしい。気付けば見たこともない世界の海に漂っていたので戸惑ったが、うまい具合に善良そうな人に助けてもらえたのでよかった。そのおじいちゃんとおばあちゃんは夫婦ではないけれど働く場所が同じらしくて、その広い広い職場の一室に私は今住まわせてもらっている。お礼をしようにも特技と言えば祖母が遺してくれたお菓子のレシピをもとに作る和菓子を振る舞うことしかできないが、それはなかなか美味らしく作れば嬉しそうに食べてくれた。おじいちゃんとおばあちゃんと、その部下だという人たちも。だから私はそのお団子と煎茶を3人分用意すると大きなテーブルに座る彼らにそれらを置いた。

「儂ゃ甘いもんは苦手じゃ言うとろうに!…まあこれは別じゃがのォ!」
「お嬢の作る団子は幾つ食べても飽きないねェ〜」
「あららら、今日も美味しそうだねぇ。いただきます」

モグモグモグ。
そう言いながら赤犬さん、黄猿さん、青雉さんはお団子を食べお茶をすすった。どういうわけか彼らはこの世界のことを何もわからない私の警護を買って出てくれたおじさま達だ。この職場で大将という地位に君臨する人たちらしいけど、こんな出どころの怪しい私に付いてくれるなんていいのかなあ??センゴクおじいちゃんもおつるおばあちゃんも構わない、とお団子食べながら笑顔で言ってはくれたけど。

「はー、ここの生活飽きたな。なんだか旅立ちたくなってきた。行ってもいい??」
「ええ〜、旅〜??お嬢ひとりじゃ行かせられないでしょー」
「危険じゃろうが!儂も付いて行くでェ!」
「ホッホッ。わっしらがお供するヨォ」

私が何気なく呟けば3人は勇ましくそう言った。なんだか大事になってない?と思ったけど、どうにも鬼を退治したくて仕方ない病(父譲り)が発症中なのでこの人達連れてちょっと出掛けようと思う。

「ねえねえ、鬼ってどこにいるの?」
「鬼の子ならいるねェ」
「そいつよ!どんな人!?ん、手配書?…って、えー、やだカッコイイじゃん!付き合いたーい!会いに行く会いに行く!」
「ハア??!儂ゃ許さんでェ?!!」


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