超短編!(令和〜) | ナノ
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沈むたび、繋がりあう

警告音が響いた。それを聞いた私は足を早め女部屋へと逃げ込めば、布団に潜り込んで目を閉じて耳を塞いだ。次第に心臓の鼓動が早まって、拍動は強まるばかり。それをどうにか宥めながら震え始めた手足に泣きそうになった。

この症状、ハートの海賊団に入ってすぐは気づかなかった。まさか自分が閉所恐怖症であるだなんて。しかも重度の。度重なる浸水時の恐怖観念に、もしや?と気付いたら最後、症状は酷くなった。今はもう立っていられないし、身動きも取れなくなるのでこうして布団の中でやり過ごすことにしている。仲のいいイッカクには真実を伝えているが、キャプテンには…。こんなことバレたらきっとこの船を追放されてしまうだろう。それは嫌だった。いつものようにイッカクに偽装工作を頼んで、涙で潤む目をさらに強く瞑って、早く上がれと祈った。

「馬鹿女」

…だがこんなこと、いずれバレるに決まっていた。下手したら一日中潜水し続ける事もあるのだ。その間私がずっといなかったらさすがにキャプテンは気付く。女部屋の扉を開け、そう声をかけてきたキャプテンの背後でイッカクはすまなそうに眉を下げていたが悪いのは私だ。



黙っててごめんなさい…

ガンガン痛む頭と吐き気に倒れそうになりながら、平身低頭キャプテンに頭を下げた。キャプテンは黙って私を見下ろしていた。もう終わりだ。私は次の島で降ろされるだろう。でも仕方ない。私がキャプテンならそうする。相手が恋人であっても。…そう思っていた矢先、キャプテンは私の腰を引きよせた。そしてそのまま、私の顎を上げてきて顔を近づけ唇を塞いだ。楽にしてろ、とキスの合間にそう告げられた。
啄ばむようなキスはやがて深みを増し、気づけばキャプテンの舌が口内を蹂躙していた。ん、ん、と声をこぼしながら、何故今キスを?と甘く痺れ始めた脳内で考えて、全く抵抗できないまま蕩けそうな目でキャプテンを見つめた。はあはあ、と互いの興奮した吐息を吸い込めば体がきゅんとなる。そしてそのままキャプテンは私の服を脱がし始める。

「気を紛らわせばいい」


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