ワンピ短編 | ナノ
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ここで教えて

「なあーリコ、いい加減教えてくれよー」


とある島のとある町。メインストリートを歩く私に彼はすたすたとそう言いながらずっと後をついてきている。

ずっとずっと前から、誰よりも誰よりも大好きな、私が乗る船の船長であるルフィ。
この島に上陸する少し前、彼が好き過ぎて思わず気持ちが溢れでそうになった時、この思いを伝えようと勇気を出してずっと温め続けたその台詞を言いかけて…



……
………そして、慌ててやめた。


拒否されるのが恐くて、きっとルフィの事だからその後の態度はきっと変わらないだろうことがわかって、そうなると思ったら辛くて、だから口をつぐんだ。
言いかけた言葉を飲み込んだとき、目の前のルフィはただじっと私をまっすぐに見ていた。


「なー、おーーい!リコってば」
「…」


そして、ルフィはその時からずっとこうして私のあとをついてまわっている。


― 何か言いかけたろ?
― 何で言わねぇの?
― 言ってくれよ、気になるじゃねぇか


背後でそう言われ続けて、でも私はその度に「何でもないの」と、回り込んでは顔を覗き込んでくる彼の目を逸らしてかわし続けた。
それでも彼はずっと私の傍にいる。


助けを求めようにも、船が島に上陸して他の仲間たちはそれぞれ各自の行きたいところへ行ってしまった。
ルフィもいつもなら島に着くなりおいしい匂いのするご飯屋さんにぴゅーんと行ってしまうのに、今日に限ってそれがない。
そしてあてもないままずっとこの道を歩き続けている。


「おいってば!」


キュ…


しびれをきらしたのか、ついにルフィは自身の手を伸ばして私の手をつかむ。
同時に心までもつかまれた気になって、私の心はどきんとはねた。
ルフィの手に力が入り、私はぐいと彼にひっぱられて目の前に立たされた。そしてバチリと合うルフィの瞳。私は恥ずかしくて思わずうつむいてしまう。


「教えろよ。さっきの話の続き」


にっこり。
顔を直接見ていなくても、きっと彼は笑っているとわかった。


「い、言えない」


どもりそうになりながらも必死でそう言った。
メインストリートのど真ん中、行き交う人々は立ち止まった私たちを不思議そうにながめている。


「こ、こんな人がいっぱいいる所じゃ、い…言えないよ!」
「へ?…ふーん」


必死の言い訳に、ルフィはふーんと答えつつ私の手をさらに引いて引き寄せると
「それなら…」
そう言って、次の瞬間周りに見えない波のような波動がルフィを中心にドンッと広がっていくのがわかった。
空気が震える。目には見えない。けど感じられるすさまじい覇気の力。
途端にメインストリートを歩いていた人たちが次々に白目をむいて倒れていく姿を、私は目の前にいるルフィの身体の肩越しから見た。



「これで、どうだ?」



無邪気に笑うルフィに、私はただただ真っ赤な顔で何も言えない。
いつからだろう?
彼がこんなふうに、覇気を器用に目的の物だけ効くようコントロールできるようになったのは?
ざわざわしていた世界はそして一気に沈黙する。そしてふたりだけが、残される。



「もう誰も聞いてねぇぞ。…だから」



そしてルフィが心底、待ちわびたように言った。
もう私も…逃げられない。
観念しないと…いけないようだ。




…だから、リコ





____ここで、教えて?






「………………すき…です」
「あーやっと言った。そうじゃねぇかと思ってずっと言うの待ってたんだ。なんだりょうおもいだったんだな俺たち」
「!?」

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