ワンピ短編 | ナノ
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熱帯夜

「嫌、寄らないでこれ以上」


寝室のベッドの上、心底嫌ですという具合にそう言って私はローを突き放した。

ローは「何だよ…」と眉をひそめるも、それでもしつこくまた身体を寄せようとするので今度は足で彼の身体を押し返した。「来るなって言ってんのに!」。けれど彼の手は長くて私は腕を掴まれてしまった。足裏で彼の胸板をギリギリと押し離そうとするも、二の腕はしっかりと大きな手に捕らえられているので暫く互いの押す力と引き寄せる力が均衡した。


「諦めろ」
「ヤダ」
「力で敵うと思ってるのか?」
「力ずくなんて酷くない?」
「俺を拒否するお前のほうが酷ェ」
「仕方ないでしょ」
「前までは俺を求めていたくせに」
「それも仕方ない事でしょ」
「女は我儘だな」
「そうよ、ワガママなの。それでいいの。だから今は離れて」


私はそう言ったのだが、ローはニィ…と不敵に嗤い「却下だ」…と短く告げれば、捕えた腕の力を強めると共に胸にある足を払いつつ、力のまま私を引き寄せてその身で私をくるむようにした。


「…ああ。イイな」
「うぁあああぁぁあーーー」


ローはぎゅーっと己の素肌を私の裸の腕に絡め、自分の頬を私の頬に当てそしてひと言。「ひんやりしてる」。嬉しそうにそう言った。



痩せた身体に冷たい眼差しを持つこの男は、その見た目に反して身体は常に熱をもったかのように熱い。夏でも冬でも年がら年中。男って皆そうなの??この時期の冷房の設定温度なんて常に私と争っている気がする。


そんなローは今、就寝時私に執拗に触れたがるから困っている。
冬はいいのだ!
冷え性の私が真冬に暖かいローの身体のお世話になっていることは確か。数か月前は毎晩どうもありがとうございました!
けど真夏の暑い時に熱い身体を密着させられるのは正直キツい!!かなり嫌だ!とてもツラい!!!暑苦しい!最早吐き出す息すら鬱陶しい!


「だから離れろーー!」
「冬に冷えた足を温めてやったじゃねえか。その時の恩を返せよ」


ローはそう言って密着を続けた。どう頑張ってももう離せそうにない。
ああああ…。
だから今夜もまた、私だけが熱帯夜。



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