ワンピ短編 | ナノ
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もしも、無人島へ

ゼミの飲み会の終了間際。
各々が酒をいい具合に摂取した状態で、ほろ酔いだったり泥酔に近かったり。そんな皆が皆陽気で浮かれた中、リコは座敷にころんと横になり、赤い顔ととろりとした潤み目でふふふと笑っていたので思わずそれに目が釘付けになった。
「あーあ。リコ、寝転んじゃって」
「おーおー。寝るんじゃねーぞ!連れて帰れねえよ」
あはは
そう言って誰かがそう注意するも、リコはそんなことおかまいなしに、幸せそうに、「だいじょうぶー」と言っていた。嘘つけ、きっと大丈夫じゃねえはずなのに。いつだってそうなった後は一人じゃ立てなくて誰かしらに迷惑をかけているじゃないか。…とリコを盗み見ながらそう思った。



「ねえねえ!!もしさぁ。無人島に連れて行かれることになったらさあ!」


それは、思考回路が鈍くなった、誰かもわからない人間が突如として言い始めた、全く持って意味不明で無利益な質問だった。


「何か三つだけ持っていけるとしたら、何にする?」


そんな事など決してこの先起こることなどないだろう…としか言いようのないその質問。けれど、酔った人間たちは「ええーー」と大げさにその質問に対して身構えて、しばらく赤い顔とふらつかせた頭でまじめそうに思案していた。


「酒だな。一に酒、二に酒、最後に酒!」
「やっぱね!ゾロは絶対そう言うと思ったわ」


あはは。
アホすぎる返答にその場にいる全員がドッと笑った。


「じゃあ、リコは??」


そして、今度は横になったまま目を半分だけ開けた笑顔のリコにナミ屋がそう聞いている。
リコはえー?…と少しだけ目を閉じた。
そしてすぐさまにこーーーっと究極に綻んだ顔をしながら目を開けた。



「ロー」



そして言った。


「ローがいたら、それでいいかな」


ふふふ。



そして、そう言い終えるとえへへ…と笑いながら目を閉じた。

ナミ屋があらまあ!とニヤリ顔をする中、ゾロがマジかよ!と大げさに目を見開く中、そんな中、俺は、突然のその発言に思わず身体を固めて、そして…、きっと…、顔を赤くしているんだ…と思う。



それは不意打ちの。
無邪気な顔して無防備な彼女が放ったあまりに威力のありすぎるライフル。



「もーー!リコ送ってくの、ローに決定!」


ナミ屋があははと笑ってそう言い放った。
どうすればリコをうまくこの後送って行けるかを思案していた俺は、願ってもないその展開と、けれど同時に産まれたこの上ない心のざわめきに、ただひたすら冷静になることだけを考えていた。
そうじゃないと、この後ただ単に彼女を送ってそれで終わり、というスマートな展開にできそうにない…だなんて。それじゃあまりにも、ほら、何というか、…単純すぎて…情けないだろ?
そう思いながら「仕方ねえな」…だなんて、何でもなさそうに言ってみた。何でもなさそうに。




あなたさえよければ
このまますぐにでも無人島へ…



そんな思いを隠しながら。








パチ!

「あ…。あと二ついいのか。じゃあ、あとは料理人要員としてサンジくんとー、あと脱出用に潜水艦!」
「!」
「え?あはは!じゃあローは何要員だったの?」
「…むにゃむにゃ」
「寝るなァ!」


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