超短編!〜平成 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
先生と未来の生徒と今の生徒

ある日私が生徒相手に指導をしていると、何か用事があったのかいそいそとやってきたロー君がそれに気づいて頬を膨らませながら抗議をしてきた。

「お前!どうしてグラディウスといるんだよ!!」
「ああ…」

あからさまにぷりぷりしたその怒り声に私はそっと肩をすくめた。「あら、だって」。側にいるグラディウスの肩にそっと手を置きながら「若様が今はグラディウスに教えてやれって言ったから」、そう言いながらグラディウスに微笑んだ。「そうよね?」「…ん、…ああ」。するとグラディウスは目の端を赤く染めてそっと目を逸らす。その反応がウブでかわいくて思わずクスっと笑ってしまった。

「グラディウスはお前の言う大人≠チてやつなのかよ!」
「そうね。とりあえず一緒にお風呂は入ってないし」
「あ、当たり前だろう!もう17だぞ!!」
「おい!おれだってあの日からもう入ってねえじゃねえか!」
「フフ。それでもダメよ。まだ早いわ」
「どうしてだよ!」

ロー君はやっぱり納得がいかないのか目を吊り上げてブーブー文句を言った。かわいいなぁ。そう思うしかなくて、私はさっきとは質の違う笑みでロー君を見下ろした。


「それに!何でお前グラディウスの膝に座ってんだよ!!」
「あら。ふふふ」


ついには指をさしてまで非難するロー君に、私はグラディウスに寄せていた身体を離して椅子に座りなおすと、代わりにロー君の身体を持ち上げて私の膝の上に乗せてあげることにした。まだまだ華奢な身体つきであるけれど、いつかきっと、今よりずっとたくましくなるんだろうな。

「ロー君かわいい」
「やめろ!子ども扱いするな!」
「まあいいじゃない。ふふ」

ロー君はガウガウ怒っていたけれど、事実今はかわいい子供でしかないのだから仕様がない。
そのままぐりぐり頭を撫でまわしてあげて、それにされるがままのロー君に、そういえば用事があったのではと彼の顔を覗き込みながら「私に何か用?」と聞いてみた。


「べ、別にっ!少し髪切っただろって言いに来ただけだ!!離せよ!!もう行くんだから!」
「あら」
「じゃあな!!」


そう言って走り出すロー君の背中に自然と笑みがこぼれおちた。
まだまだロー君は私の生徒になるには早いけど、どうやら素質≠ヘ十分にあるみたい。


「グラディウスはぜんっぜん気づかなかったのにねえ」
「…スイマセン…」




*もちろん若様もそれに気づいて指摘済み♪

prev index next