超短編!〜平成 | ナノ
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こんなハズじゃなかった…

突然の雨に慌てて軒下に逃げ込んだ。
濡れてしずくの落ちる髪をそっと耳にかけながら、この雨じゃ帰れない、困ったなぁ…とため息を吐いていた時だった。

「…どうした…。お前…、捨てられたのか?」
「…いえ、捨てられてないです」
「…お母さんはどこ行っちゃったんだ…。ん?兄弟は?そうか…お前ひとりぼっちなんだな…」
「…いえ、母は健在です。兄弟もいます。一人じゃありません」
「…濡れちまってるな…。寒ぃか?よしよし。ん。おまえ…あったけぇな」
「…いきなり抱きついて頬ずりしないでください…。海兵呼びますよ…」
「…そうだな。なら、俺と一緒にくるか?」
「…いえ行きません。ちゃんと帰る場所ありますから」
「…よーしよしよし。…なら、行く…か。きっとアイツらも許してくれるだろう。船で風呂に入れてやるよ。…名前、決めねぇとな」
「ギャー!!やめてーーー!!もう!!こんな実食べるんじゃなかったぁああ!!」


ホゴホゴの実。癒し系。
どんな相手であれ保護したい意志を引き出して、庇護させてしまうある意味究極の実…かもしれない。
天候が雨である。そして本人が濡れている。段ボールに入っている。拾ってくださいのフダがそれに貼ってある…等、保護意欲を掻き立てるシチュエーションであればあるほど効果を発揮する。
だが…


「ミャー」
「…ああ。…お前の方がかわいいな。…仕様がねぇから飼ってやるよ」
「え!」


本家本元には敵わない。

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