超短編!〜平成 | ナノ
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ジグソー

「気を楽にしろ」
「「「ギャーーー!!」」」

…と、まあこんな具合に本日未明船長の容赦ない制裁が私たちに加えられた。
怒らせてしまった原因は些細なことだったのだが、間の悪いことに船長のもともとのご機嫌が相当よろしくなかったようで私たちは船長の制裁、その名も『できるかな?立体パズル地獄!』により普段以上に見事にバラバラにバラされてしまった。普段以上、なので内蔵までが散り散りに、だ。

「ベポ頑張って!」
「う、うん。…おえぇえ…」
「その傷跡があんのは俺の足だって!ウニにつけてんじゃねえよ!前も言ったろうが!」
「そんなの忘れたよ!!それより気分が悪いよ吐きそうだよ。内臓は目に悪いよ」
「視線外しながらやってよ!とりあえず体内に納めて!間違っててもいいから!!」
「嫌だよ間違えてくれるな!ちゃんと俺の臓器を俺に納めろ!!」
「こだわってる暇ないよ!早く済まさなくちゃベポ今にもトイレに走り出しそうだもん!!そしたらしばらく帰ってこないよきっと!!内臓が乾いちゃうでしょ?!」
「クソーー仕方ねえ!!さっさとやってくれベポ!」
「う、うんわがっだ。というかそれ以前に内蔵は個体識別が難しすぎて適当にするしかないし!!ウェップ!!ええい!ままよ!」


・・・そして次の日。


私は自分の内部に多少の違和感を感じつつも朝食をとりにウキウキと食堂へと向かっていた。だが、その高揚した気分とは裏腹に少し先にある食堂から漂うにおいを嗅ぐやいなやせりあがってきた吐き気に「え!?」と思わず顔をしかめた。こんなの生まれてこのかた一度も経験したことなんてないぞ?どんなに深酒した翌日でも私がそんなことを思うなんてコトなかったのに……ってまさかぁ!!!??私は食堂のドアをあけて昨日の制裁を受けた仲間をすかさず見渡した。するとペンギンが神妙な顔をしてスプーンを握っている姿を見つけたので慌てて近づいた。

「…すげぇ…。俺朝からカレーライス食ってるよ。…なんだよこの何でも朝から食える感。信じられねえ。あり得ねえな!!お前の胃腸!!」
「ギャー!やっぱりこれ私の内臓じゃないんだ!!今すぐ返してよ!!ゴハンいっぱい食べたいのにまったく受け付けそうにないよこの貧弱胃腸は!!」

いつも朝ごはんを食べない(食べられない)派であるペンギンは、目を白黒させつつ大盛りのカレーライスを何かを確かめるようにしながらモリモリと食べていた。「待てもうちょっと体験させてくれ」。…だなんて、のんきに言うな!!おかげで私は固形物なんて何も食べられそうにないではないか!一食分食べる機会を失うなんて辛すぎるし!!

「まあどのみち船長まだ激オコだから元に戻してくれねえし」
「んああー!私もカレーライス食べたいーー!…ウェップ!!わああー匂いだけで食欲そがれてるなんてヤダーー!」
「ちょうどいいじゃねえか。しばらく俺の胃貸してやるよ。なんせお前最近ふ……。…みなまでは言うまい」
「何よ!!」
「お前は太った。だからダイエットになっていいと言いたいんだろうが。ペンギン」
「わ!!船長!」
「ああーーー!太ったって言わないでーーー!!確かにその通りだけど!!!」
「一食抜くと大分違うぞ?クックック…」
「私三食食べて痩せたい派なんですけど!」
「うるせぇ。ゴチャゴチャ言うな諦めろ」

ヒエー私だけ昨日の制裁が終わってない!酷い!

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