超短編!〜平成 | ナノ
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その時が楽しみだ

ある日食事をとっているとローが現れて、私の目の前に悪魔の実をコトンと置きながら何の前置きもなく「食え」と言ってきたので面食らった。

「…はい?」
「今すぐ食え。手に入れるのには苦労した…」
「いや、待って。聞きたいことがあるとしたら苦労話じゃなくて、何で食べなくちゃならないのかという部分で…」
「口開けろ。ホラ!」
「ちょッ!!ムゴォ!!!…ッッ!!おぇッッ!!!不味ゥウウウ!!!」

抵抗しようにもローの力になんて敵うわけもなく、あっという間に私の口に押し込められる見た目フルーツの激マズ物質。じゅる…と口からこぼれた果汁を指先で拭うローがニヤァ…と気持ち悪く笑う姿が見えた。そして途端にぞわりと身体中に走り抜ける違和感。何故わかるのか口では説明できないけれど、私は自身が確かに前とは違う人間になったことを自然と理解して震えた。

「何の実??!!」
「ネコネコの実。モデルは何なのか知らねぇ」
「そこ重要じゃない!?」
「ネコ科でありさえすればいい」
「どういうこと!?」
「なぁ…お前」

ローは私をニヤニヤ眺めながら、そっと掌で私の背を撫でた。指先でそろりと触れる、まるで営みへと誘うような仕草で。そして言った。

「発情しそうか?」
「はぁ?!」
「まだ身体が実に慣れねえか…。まあ、いい。いずれ必ずくるだろ。そのときのお前が見ものだな。ああ、楽しみだ」
「ちょっと待って…意味が分からない。発情って何よ!!」
「言葉通りだ。発情してヤリたがって悶えてるお前が見てェ。いつもお前は淡白でつまらねぇし」
「何それ!!!そんな理由で食べさせたの!!??」
「ああそうだ」

…言い切った。
私はそんなくだらない理由でカナヅチにされたことにわなわなと手を震わせながら、思わず手を振り上げてこの変態な恋人の頬をぶってやった。

「あり得ない!!バカじゃないの?!!」
「わッッ!!い、痛ェエエエエ!」


ザシュ!!


すると私の爪があっという間に尖って鋭利な刃物のようになった。
…なるほど。これは今後有効に使えそうである。



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