超短編!〜平成 | ナノ
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一緒に暮ら…せない!

雑誌のページを見つめながらはうぁあああーと顔を緩ませてため息をついた。
そんな私の隣にいるナミが、何事よ…とページを覗き込んできたので私は目じりを下げた状態のまま「犬か猫を飼おうと思って」と、幼気な表情をした子犬や子猫たちが載っているその雑誌を彼女にも見せてあげた。

「かわいいよねぇ〜かわいいよねぇ〜。最近は猫のほうが人気なんだよねぇ〜??ああ、でもやっぱり犬かなぁ〜」
「何で飼いたいの?」
ナミはお金ばかりかかるペットをどうして飼いたいのか全く理解できない…って顔をしていた。ナミらしいや。
「だってさー。家に帰ったら居るんだよ?そしたらさ、お帰りーって玄関に出てきてくれるんだよ??それだけで癒されるよー。大きめの犬だったらさ、番犬にもなるよね??もしも夜中に誰か侵入してきてもさー、ガブー!!って噛んで侵入者を威嚇してくれたら、ほら、私助かっちゃうじゃん!!しかもしかも!淋しくないでしょ!!一人暮らしはやっぱりねぇ…」

私がそうやってペットを飼った時のメリットを語り続けていると、真向いに座って黙ってそれを聞いていたローが口を開いた。「それなら…」。何故だか少しだけ恥ずかしげな声だった。

「ならお前、人間と…暮らせばいいじゃねぇか。ホラ…。お帰りって言ってくれるし、誰かと暮らして…それが男ならばっちり防犯対策になるし…、それに…淋しくねぇ…だろ?」
「えー」

私はその台詞に雑誌から顔をあげてローを見つめる。じぃ…とこちらを同じく見つめ返しているローはちょっとだけ顔を赤くしていた。ナミはうっひっひ…と隣で奇妙な笑い声をあげている。

「そうだけどね。…でも一緒に暮らす人が夜型で私の寝る時間に寝なかったら鬱陶しいし、その流れで朝きちんと起きてこなかったらウザったいし、お風呂やトイレがかちあったらイラっとするしー。ご飯の好みが合わなかったらハァ!?ってなるし…。だから犬の方がいいなぁ」
「うっひっひ。あんたそういう子だったわね。ペース乱されると嫌なのよね」
「…そ、そうかよ」
「何かあって相手の人が不機嫌になったら面倒だしねぇー」
「いっひっひ」
「…う…ん」
「一緒に暮らすなら料理も掃除も洗濯もしてくれる人じゃなきゃ嫌だしぃ…」
「くっくっく」
「…お、おお…」

それに…

私は顔を奇妙に歪ませてお腹を押さえつつ笑いをこらえているナミと、どんどん顔を引きつらせながら表情を暗くしていくロー、そんな二人に大きなため息を吐きながら自分が人とは一緒に暮らせない一番の問題点について語った。


「それに私普段裸族だからなー。だから無理でしょ。人と同棲なんて」
「ああそうだったわね。忘れてたわ。一度アポなし訪問してその姿見ちゃったことあったわね」
「ウォオオエエエエ!??おいおいおい!!マママ、マジかよ!!!」


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