超短編!〜平成 | ナノ
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ラズベリー思考

「…おい、昨日の…ッ!…悪ィ」

…バタン!
勢いよく部屋のドアを開けたがいいが、それを俺はすぐさま勢いよく閉めた。
それはあまりにもあっという間だったのでドア向こうにいるエマの姿を見たのは一瞬であったけれど、彼女が俺と目を合わせた瞬間に息を飲む姿はしっかりと見て取れた。
そして、本当のことを言えばしっかりと*レに映ったのはそれだけでは…ない。
俺は目を閉じて素早く息を吐くと、くるりとドアに背を向けて慌てた素振りが周りのクルーに伝わらないように、普段通りを装いつつも急ぎ足でその場を後にした。
目に焼き付いて離れない先ほどの光景に無意識に唸ってしまう。
ノックくらいすべきだった。相手は女なのだ。昨日抱いたちょっとした疑問をすぐに解決したいという勢いからの、軽率すぎた行動だった。
何度目を瞬いても、頭をブンブン振ってみようとも、…ソレはもうなかった事≠ノはできやしない。
まさか着替え中、だったとは…。
あー…と吠える様にまた唸りながら、ドアを開けた途端に目を見開いてこちらを凝視した下着姿のエマの事をまた意に反して思い出した。
ああー…。
思い出すと同時に、俺は頭を抱えつつ苦しげにまた唸った。


その後、ツナギをしっかりと着込んで現れたエマの姿を目にした俺は、この度のアクシデントがもたらす更なる現象に悩まされる。
そんな悪魔の実の能力など俺は持っていないはずなのに、この両目は分厚い生地のツナギがまるで透けてしまったかのように、彼女をあの時の下着だけしか着ていない露わな姿へと勝手に変換して脳内へとその映像を…送るのだ。
そしてそれを受け取れば途端に胸の奥がキュ…と甘酸っぱく疼くのだから…嫌になる。
何やってんだ。
もう二十代半ばを過ぎた、一応それなりの経験を積んだ男であるくせに。純情なんて言葉が決して似合わない荒くれ海賊、なんだぞ??しかも皆を束ねて率いていく船長という立場。いくら相手が好きな女であるからと言っても、たかが下着を見ただけでこうも不安定になっているなんて。…本当に何やってんだ何やってんだ何やってんだ。

そう繰り返し自分を叱責し続けるも、まるで思春期の少年がしているような妄想からは逃れられないのが現実で…。
…そして、その事についてはただひたすら自身に嫌悪感を抱いてしまうしかないのであるが、…けれどやっぱり…どうしようもできなくて…。


そんな折、俺はふいにエマとバチリ…。目が合ってしまった。
彼女は俺と顔を合わせた途端にポッと顔を赤くして慌てたようにその目を逸らし慎ましく俯いた。
その小さく恥じらう姿が、熟れた果実のようになった表情が、俺から決して消えてなくならない不浄な妄想を生み出し続ける何かの力≠更に更に助長させていって…。
クソ…。
俺はだから心の中でまた猛烈に唸って舌打ちした。
…が、そうした所で…やはり、どうしようもできなくて…。


ああ困った。
今日一日…、俺はずっとこうなのか?
或いは、まさかだけれど、この先…ずっと?
…そう思うとまた、あああー…と唸っていた。

何やってんだ何やってんだ何やってんだ俺…畜生。

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