ローと渋滞にはまった
この時期特有の高速道路の渋滞。
しかもトラブルかなにかで動けなくなった車が遥か前方にあるらしく、先ほどから私たちを乗せた車はまったく前に進まない。
かけていたCDが一回転したところで、私の隣でハンドルを握っていたローもさすがに耐えられなくなったのか、人差し指でトントントントンそれをせわしなく叩き始めて目つきが更に厳しくなってもきたから、うーん、どうにかしなくては…!
「し、しりとりでもする!?」
「…するか。馬鹿が」
「ローさんによる〜すべらない話〜!」
「…ねぇよ。アホが」
「じゃあわたしとっておきの〜すべらない…」
「…聞きたくねぇよ。間抜けが」
…が、時間つぶしのための提案は全て瞬く間に一蹴されてしまう。
「…さっきからマジで全く動かねぇ…。本当に動かねえ。一体どうなってやがるんだ」
苛々苛々。
キツイ言葉でそう言い続けるローは、ついにサイドブレーキを上げてシフトレバーをパーキングにいれた。
すると厳しい瞳から一変してニヤりとした怪しい眼差しで私を見つめてきたので、もう嫌な予感しかしない。ローは言った。
「こうなったら…、後部座席に移動してどれだけ短時間でヤれるか試すか?」
アホー!
私はその発言にすぐさま拳でローの頭を殴った。
「なら…、どれだけ長くキスできるか試すか?」
「…ああ、それなら…」
すると冷たい声がした。
「おいテメェら…。俺が後ろにいること忘れてんじゃねえぞ…」
キッドが別の理由で苛々しながらそう言った。
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