超短編!〜平成 | ナノ
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〇〇へ行こう!

久々に島に着いた。
私は甲板からそれを確認すると、一目散に船長室へと急ぐ。
ドアを開けて、部屋にあるベッドの中で頭の先まで毛布にくるまってもぞもぞしている船長の側に駆け寄ってその身体をゆすった。

「ロー、島着いたよ。出よう」
「嫌だ」

ローにそう声をかけるも、毛布から出る様子もなくくぐもった声ですぐさまそんな返答。

「大丈夫だから、行こうよ」
「絶対に嫌だ」

あきらめずにもう一度声をかけるも、やっぱり嫌の一点張り。
けど、もうここ一週間以上酷過ぎる仏頂面が続いてるんだから、諦めて行った方がいいと思うんだけどね。

「だめだって。行こう。あきらめて」
「やだ」
「一緒について行ってあげるから」
「…やだ」

お?ちょっと返事が遅くなった?
もう一押しかもしんない。


「ね?行こうよ。手を握っててあげるから」
「…」



そこでようやく情けない顔した船長が毛布から顔をのぞかした。少し涙目の瞳。ああ。随分我慢してたもんね。



「よしよしイイ子イイ子。早く着替えて!外で待ってるからね!」
「…皆には絶対に言うなよ」


はいはーい。わかったよ!
私はそう返事して部屋を出て、甲板出口付近の掲示板の自分の名前のところにチョークで出先を書き込んだ。



「歯医者、午前中帰宅予定…っと。あ!来た来た。さ、行こ!」
「痛ェ…。クソ。奥歯が超絶痛ェ…」
「大丈夫大丈夫。サクっと抜いちゃえばすぐだから!ね!」
「サクじゃすまねぇよ…。ザクっとだよ。ザクっとバキっと…」
「ダメ!考えちゃダメ!ゼッタイ!」


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