超短編!〜平成 | ナノ
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キッドの奥様がついに臨月だってよ。

「…はっきり言っておくが、こんなことされても迷惑極まりねえんだぞ…」
「うるせぇ外科医野郎。てめぇのクルーはそこまで多くもねえだろ。行先が一緒みてぇだからょっと気まぐれに並航して何かあったら助けてやろうってんだからありがたく思えよ」
「本当に申し訳ありません(ぺこり)。頭のお言葉はこちらで注釈いたします。頭は奥方の出産が間近なことを相当不安がっておりますのでぜひその日まで優秀な外科医である貴方様に近くにいて欲しいみたいです(ぺこりぺこり)」
「キャプテーン。だめだー。おれ達の船鉄製だからキッドの能力からは逃れられないよー」

「…ならせめてこの絶え間なく流れる音楽をどうにかしてくれねえか…」
「黙ってろ外科医野郎。この素晴らしい芸術を理解できねぇとはテメェもそこまでの男だという事だな。ああ、その汚ぇ言葉づかいもアイツの近くじゃやめてもらいてぇ」
「音量を下げさせていただきます(ぺこり)。胎教にいいと物の本により知ってからずっと流しているんです。申し訳ありませんがもう少々お付き合いください。本当に本当に無理なお願いとは思いますが言葉づかいは丁寧にお願いいたします(ぺこりぺこり)」
「船長ー。クラシックなんて聞いてたら調子が狂っちまうよー。眠くなっちまうよー。ああ!ベポ寝るんじゃねえって!!」

「…おい。俺たちはあの島に寄って補給作業をしてぇんだからこの船から離れさせろよ…」
「何言ってんだ馬鹿か外科医野郎!あの島にもし妙な病原菌が蔓延してたらどうするつもりだ!それにヤベェお尋ね者がいるかもしれねぇだろうが!!そんな中にお前らを送り込んでそれらを持ち帰りでもされたらアイツやガキがどうなると思う!?させるわけねえだろ!」
「もうなんなりと欲するものをおっしゃってください。進呈いたします(ぺこり)。…ああ、あと並航期間中の食事は全てキラーが作らせていただきます。あいつの腕前は中々のものですから、どうぞ遠慮なくお召し上がりください(ぺこりぺこり)」
「せせせ船長ー!南の海の料理って旨いんすねー!!これ食ってみてくださいよ!辛みの中にも甘みと酸味があってぜつみょ……ッッ!痛ッ!!何で殴るんですかぁ!!」

「…なぁ。…俺たちはこれから新世界に行こうってんだ。島へ行くことを躊躇するよりもそっちを躊躇すべきじゃねえのか?…こちら側がまるで楽園だと思えるくらいだって噂だぞ」
「アァ!?…楽園……。楽園かぁ…。……温かい家庭の事、だろ?…フフ。…フフフフ!…それがもうすぐここに出来上がるんだよ…。…へへ。ヘヘヘヘ。家族…。…お父さん、かあ…」
「注釈いたし…」
「…いや、する必要はねぇ。アイツが救いようがねえくらいにおかしくなってることは充分にわかったからもうどこか遠くへやってくれ。(…駄目だ気味が悪すぎる!さっきから蕁麻疹が出まくって身体が痒いッ!)」
「かかかか頭ァーーーーー!!コイツが超絶腹が痛ぇって騒ぎだしたーーーー!!!」
「キ…、キッドたすけて…!!お腹、お腹が痛いよォオー」
「ギャーーーーー!本当かよ本当かよ本当かァアアアアーーー!!??大丈夫かァアアアーーー!!??」
「キャーー!キャプテーン!大変だぁー」
「わーー!船長!!!どうしましょうどうしましょう!!」
「ヒッヒッフーだ!ヒッヒッフー!!」
「おいテメェらも焦ってんじゃねえよ…」


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