超短編!〜平成 | ナノ
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500円

「おい、お前俺の500円玉知らないか?」

突然ローが血相を変えながら私にそう聞いてきた。

「500円?財布の中にあるんじゃないの?」
「そういうのじゃねぇ!タローとジローの記念コインだ。棚の上に置いてた」
「見てないなぁ」
ボリボリ。
私はうつぶせに寝転んでクッキーを食べながら、そして雑誌を読みつつ答えた。
「クソ…。すぐにしまっておくんだった…。あああ。見つからねえ…」
「ただの500円でしょ?まあ記念コインだけど」
「ただの…じゃねえよ!偶然、何の気なしに手に入ったんだぞ…。奇跡だろ?しかも自販機で、だぜ?こんなこと中々あり得ねぇんだ」
ふーん。
私はボリボリクッキーを食べ続けた。
「クッソ!マジで見つからねえ!!本当に見てねえのか!?南極地域観測50周年記念で発行枚数660万枚で希少価値はねえが…樺太犬と共に初代南極観測船「宗谷」が描かれてるヤツだ!裏には南極大陸の地図が描かれてる!あああ!!コノヤロー!!状態も良くてキラッキラだったのに!!」

ふ、ふーん。
すごいねロー。記念コインそんなに好きなんだ。
あ…もしかして集めてる人だった?
私はそっと雑誌を閉じた。
困ったどうしようその500円でこの雑誌買った。



――

私が唯一持ってる記念コインで、当時偶然手に入ったという話にちなませましたが、なんかごめんローすごいカッコ悪くなった。

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