超短編!〜平成 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
補修ダルいB

夏休み中の補習がマジほんと怠くて仕方ないから、各自何かおもしろいものを持ち寄って、補習後に気晴らししようっていう話になった。
サンジがバイト先のゼフさんからもらったって、大きなスイカを持ってきた。じゃあやるか!って事でスイカ割りをすることになった。

ビニールシートを中庭の端っこに敷いて真ん中にスイカを乗せて、まずはルフィが目隠ししてバットを持つ。くるくるって身体を回してスイカの方向をわかんなくさせて、そしてみんなで指示出し。

「ルフィー、右!もうちょい右!そうまっすぐ!」
「マジ何も見えねー!あってんのか?これ?いいのか??」
「だいじょーぶだいじょーぶ。ゆっくりね」
「そーだそーだ。合ってるぞルフィ。そのまま進め。ゆっくりだ」
「よし振り下ろせ!」
「おっしゃいくぞ!えいっ!」

スカッ

私たちの指示は当然、スイカからは程遠い別の場所。なのでルフィは思い切り振り下ろしたものの、そこには何もないから勢い余ってこけそうになってる。ドワッハッハ!!みんなで一斉に指さして笑った。「だますなよー」「お約束だろ。あきらめろ」「アハハ」。そして次は私に目隠しが渡された。よーしいっくぞー♪

「よーし、左だ左」
「そーよ!まっすぐそのまま歩いていーよ!」
「違う右だ!」
「え!?どういう事?意味わかんない!」
「ローは黙ってて!今のは間違い!そのまま左にゆーっくり行って!いーからいーからオーライオーライ!」
「違う右…ッッ!モゴ!!」
「本当にいーの?」
「あー。いいぞいいぞ。おもしろくなりそうだからそのまま進め」
「えー?」

なんだかおかしな指示のもと、バット持ってふらふら言われた通り左を歩く。「…!ッ!キャッッ!!」。すると足元に石ころでもあったのかそれに私は躓いた。視界が閉ざされてるから百倍怖い!!

ぽすん

けど、私はすぐさま誰かの腕によって支えられた。クス…。同時に聞こえる誰かの小さく笑う声。え?誰??ルフィでもゾロでもサンジでもローでもない。私は慌てて目隠しを取った。


「エエエエ、エースせんぱいっっ」


私はまさかの至近距離にいた先輩に思わず小さく叫ぶようにして彼の名前を呼んでしまう。まままさか、憧れの憧れのエース先輩が、ここここんな目の前にっっ!!というか!彼の腕の中に!!


「ハッハッハ!楽しそうなことやってんなー、一年生」
「は、は、はいっっ」
「バット持ってやってきたときはぶん殴られると思ったけど」
「そそそそそんな事絶対に!!しませんっ!」
「まーうまく割れたらおれにもご馳走してくれよ……って、どうやら退散した方がいいっぽいな」

エース先輩の側でかーっと顔を赤くしていると、いつのまにかローが私の側に来ていてバットと目隠しを奪いとると「次は俺の番だ」と言ってきた。

「俺が本当にスイカにされる前に帰るわ。じゃーな!」
「ははははい!さようなら!先輩!」

ローはフン…と怒ったように息を吐きながら私の手を引っ張った。
あー。よかった。エース先輩を殴っちゃわなくて。


prev index next