超短編!〜平成 | ナノ
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「っんっもーーーーー!!あっつーーーい!!何なのこの天気は〜!!!」


元々夏島気候の革命軍総本部にて、コアラが半分怒った声でそう叫んだ。確かに最近は特に暑い日々が続いている。
涼しかった外界での任務を終えた彼女たちにはただでさえ疲れた体にこの暑さは相当堪えられないらしい。皆が皆へばった顔をして室内のソファへだらりと座っているのが見えた。

「もうヤダー。エマちゃん、風ちょうだい風!!」
「はいはい」

コアラは私を手招きするとそう懇願する。
ビュウビュウの実≠フ能力者である私は、そんな彼女をねぎらうため強めの風を送ってあげた。「どう?」「はー涼しー。ずっと側にいてーー」。コアラは気持ちよさそうにそう言って顔を緩めた。

「お、いいな。おれにも風くれよエマ!」

…と、そんな折。革命軍の参謀であるサボも部屋へと現れればコアラと私を見るなりそう言った。
彼も暑くてたまらないのか、帽子やジャケットは脱いでしまっていてシャツは肘まで捲し上げられていた。「ダメー!今は私専用!」。するとコアラはすぐさまそう言ってイーと彼を威嚇したので笑ってしまった。

「サボくんは今回の任務報告しなきゃでしょー??すぐに書類作らなきゃ」
「ええー。おれだって暑くてたまらねぇし、帰ってすぐくらい休みたいんだけど」
「うーるーさーい!とにかく今はだめ!早く部屋に行ってきなさい!」
「うっわ。マジかよ。ひでぇなあ」

終いにはぺろっと舌を出しながらサボをしっしっと追い払う仕草をするコアラ。サボはあきらめたのかやれやれと肩を落とした。
「なら後で部屋に冷たいお茶持っていくね」
私がそう言ってあげると、サボは嬉しそうに笑って「よろしくっ!」。手を振れば背を向けてこの部屋を出ていった。




ひとしきり風にあたったコアラは満足したらしく、その後自室へと帰って行った。
その後私はキッチンで氷のたくさん入った冷たいお茶を作ってサボのいる部屋へと向かった。
彼の部屋の前。コンコンとドアをノックしてみる。
すると私を待っていたのかそのドアはすぐに開いてそして、私の手を握ったサボの手はそのまま強引に私を中へと引き入れた。
あまりの強さに体勢が崩れ、もう少しでお茶の載ったトレイを落とす所であった。

「…んッ…」

カチャリ…
ドアが閉まると同時にすぐさまサボの手は私の腰へと移動して今度は強く身体を引き寄せる。
その勢いのまま彼の顔が近づいて、チュ…、彼の唇が私の物と合わさってドキリとした。

「や…、ちょ…っと。サボ、おちついて…」
「やだ。待てねぇ。何日お前に会えなかったと思ってる」
「でも、お茶がこぼれる…」
「手ぶらで来てよかったのに」
「だって…何も用事がないのにここには来れな…っん…」

その後も続くサボのキスに、私が身をすくませながらいろいろと抗議するも彼にはあまり効果がないようだった。
それでもお茶の載ったトレイは腰に回された手とは別の方の手で支えてはくれたが。
彼はそのまま器用にチュ、チュ…と角度を変えながら私の唇を食むようなキスを続ける。

「会いたかった」
「私も」
「早く皆にエマと付き合ってること、言いてえなあ」
「だめ、だよ…。恥ずかしい…」
「ま、こういうのも、嫌いじゃねぇけど、な…」

グ、ジュ…

キスはそのままどんどんと激しさを増していく。
ついにはサボの舌が口内にぬるりと侵入し、私の肩はびくりと跳ねた。
お茶のトレイを持つ手に力が入らなくなりそうだったが、サボはそれを察してかすぐそれをベッド脇のテーブルへと置いてくれた。
空いた手はそして私の服の隙間を見つけ、探るように素肌へと侵入していく。

「…ん、だめ、だよ…報告…書が…」
「大丈夫。少しくらい、待ってくれる」
「…っふ、ぁ…、あんまり、触らないッ…で」
「…無理。止められねぇ」

サボと内緒で付き合うようになって、一体どのくらいの日が経っただろう。
サボはもうこのことを公然にしたいらしいけど私にはまだその心の準備はできていなくて、ずっとこんな風に隠れた逢瀬が続いている。

そう思っていると素肌に這うサボの手つきがどんどんと大胆さを増し、キスもまたどんどんと甘く濃厚になった。
私も、彼も、互いの体温を高めながら理性を少しずつ失って、いろいろなものへのコントロールが効かなくなっていくようだった。

メラメラの実を食べた彼の手は前よりもずっと熱い。彼の吐く息すらも。興奮していく身体に、その熱さはさらに温度を上げていく。
たまらずつぅ…と流れ落ちた汗に、サボは「暑…い、な…」。煽情的な顔をしてそう言った。
だから私は能力で風を出した。



「もーーーーー。熱風が吹いてるっ!!!熱風!!ドラゴンさん!!どうして本拠地を冬島に作らなかったんですか?!」
「今が特に暑いのは…理由があってな」
「何言ってるんです!理由って、ここが夏島だからでしょ??ああもう、寒いところに引っ越したーい!!」
「あきらめろ。これはずっと続きそうだから」
「ええーー」



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