超短編!〜平成 | ナノ
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カラフル!

私はどういうわけか昔からヴィンスモーク家に気軽に出入りできる人間だった。
それは本当に小さな子供の時からで、その家には私と同い年の兄弟たちがいて(あと3つ年上のお姉さんも)、彼らは庶民の私なんかと仲良くしてくれて、だからだろうか?、私はほとんど毎日その家(豪邸)に入り浸ってはその姉弟たちと遊んでいたのだ。
今となっては身震いものだが、私はだだっ広い子供部屋で、絶対に高いフカフカの絨毯に寝そべりながらお菓子(高級)を食べ散らかし、画用紙を広げてクレヨンを置き、はみ出さんばかりの勢いで絵なんか描いていたのである。

「…なぁ、おい」

そんなある日、私がレイジュと一緒になって花の絵を描いているとき、車のおもちゃ(最高級品)をいじっていたイチジが唐突に声を出した。

「お前、何色が好きなんだ?」

そしてこれまた唐突にそう聞いてきた。
私は画用紙から顔をあげてイチジを見上げた。イチジの側にいたニジやヨンジもそれぞれのおもちゃ(最高級品)を動かす手をピタリと止めると、イチジ同様に私をじぃ…と見つめるものだから私は「え?」…と首を傾げた。

「え、何?」
「好きな色は何だって聞いたんだ!答えろ!」
「ああ。ピンクだよ」
「え!」

改めて好きな色は何だ?と聞かれ、私はにっこり笑ってそう即答する。手の中にあるピンク色をしたクレヨン。隣でレイジュがふふっと嬉し気に笑った。「女の子はたいていピンクが好きよね♪私も好き」。レイジュの言葉に私はうん!と勢いよく頷いた。

「じゃ、じゃあ二番目に好きな色は何だよ!」

すると苛ついたニジの声がした。「そうだよ。次に好きな色は何だ!?」。ヨンジも慌てたようにそう聞いてくる。…何なの君たち??私はパチパチと目を瞬いた。「…おれも知りたい…かな」。サンジもまた(控えめな声だったけど)ボソリとそう呟いた。


「…黄色、かなあ」


暫く考えた後、散らばったクレヨンのひとつ、黄色をつまみあげながらそう言った。描き終えた花の花びらをそのままそのクレヨンで塗りつぶしながら。


「ハアアアァ!?…っくっそー!サンジッ!お前生意気だぞ!」
「出来損ない!!」
「前から気に入らなかった!!」
「グェ!!」


するとどういうわけか、怒ったイチジたちが何故かサンジをいじめ始めた。

「えー!もう、やめてよっ!!何でそうなるの??」

私が慌てて止めに入るもサンジは3人に容赦なく叩かれていた。
でも何故だかサンジは小さく笑っていて、イチジたちはそれを見て更にぷりぷり怒っていた。
そんな4人を眺めながらレイジュはひとりクスクスと笑っているし…。

ああ、相変わらずこの姉弟ってわけがわからないなあ…

…って。

私はいつもながらにそう思うしかなかった。

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