ボツSSとSSSの部屋 | ナノ
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ロー先生と先生



小さな部屋のベッドの上で患者さんが困ったような声で私に訴えた。

「最近胸が苦しいんだよねぇ。こう、締め付けられるような。病気なのかなァ…」
「おっちゃん、心臓が苦しいの??そりゃーウチじゃどうにもできないよ。知り合いに腕のいい医者いるからさ、紹介状書こうか?」
「本当かい?そりゃありがたい」
「お安い御用よ。あとで書いて渡すね」

私が頷きながらウインクしてみせるとおじちゃんは嬉しそうに笑った。だからその後私は気を取り直して施術を続けた。


…その数日後。
電話が鳴ったのでそれに出てみれば、かなり苛立った声をしたトラファルガーが「ふざけんなよ!」と開口一番怒鳴ってくるので私はそれに対して思わずけらけらと笑った。

「いきなり何?」
『何、じゃねぇだろ!また意味の分からねえ紹介状なんて持ってこさせやがって!これで今年何回目だ?!俺にそっちの患者押し付けてきてんじゃねえ!!』
「いーじゃん。昔クラスメイトだったよしみでウチの患者さん流してあげてるんだよ??それにお客様≠ェ増えれば病院の経営ってよくなるんじゃないの?単純に」
『お前のところと違ってそんなシンプルな話じゃねえんだよ!こっちは病床不足と医師不足で余計な患者を受け入れられる状態じゃねえっていうのに!』
「でもあのおっちゃん、本当に胸が悪いんじゃない?その辺に触れてたらすごく痛がる時があるしさあ」
『…、まあ』
「ならどうにかしてあげてよ。あの人、うちによく来てくれるからまだまだ生きて欲しいんだ。上客なの」
『あのなあ!だいたいテメェの派手な店のチラシに走り書きでよろしく♪≠チてのは何なんだよ。それを顔を引きつらせた看護師から渡される身にもなってみろ…俺の立場ってもんが』
「うふふ。ついでに宣伝だよ〜。ね?医者仲間にもそれ回覧しといてよ」
『テメェ…あんなもの見せられるわけがねぇだろうが…』

私のその言葉にトラファルガーは電話の向こう側でチ…と不愉快そうに激しく舌を打った。
確かに今年に入ってもう何回もウチの患者さんを勝手に彼の病院に送り込んではいる。ならばこの不機嫌な元クラスメイトに今後のためにも何らかのお礼くらいしておいたほうがいいだろうか?私は「ならさぁ」と、顰め面しているであろうトラファルガーに明るい声で言ってみた。

「まあ、そう怒らないでよ。じゃあさ私のトコに今度来て。サービスするから。極上の快楽と最高のスッキリ感☆こんなの初めて〜!60分コース*ウ料でどう?」
『…』
「嫌?なら上半身攻めまくりもみしだきコース≠ヘどう?人気あるよ」
『…』
「それか、やっぱ男だから下半身徹底集中・そんなにしたら出ちゃうよ!毒素が!コース≠ノする?ウフフ」
『お前…その無駄に官能的なコース名いい加減変えろよただの整体師だろうが…。だからあんなエロオヤジっぽいのばかりが来るんだろ。いつか襲われるぞ』
「あ、ちなみに裏メニューもあるんだ。常連・上客のみが見られるヤツ」
『!』
「お店に来てくれたらトラファルガーにも特別にそれ見せてあげるよ。そこから選んでもいいからね。じゃーバイバイ♪」

ピ!
そして私はトラファルガーの返事も待たずに電話を切った。時計を見上げればもうすぐ開店時間であったので。
今日もたくさんのお客さんが私のことを待っているからこれ以上無駄話なんてしている暇は少しもない!ゴッドハンドと呼ばれる腕前を持つ私は毎日毎日本当に忙しいのです。
身体のコリを徹底的にモミモミ解せば全身爽快!足裏をグリグリ攻めれば内臓疾患だってわかっちゃう!その際にはご希望あらば大病院の凄腕先生を特別にご紹介することもできるそんな当店。お客様にご満足いただけるメニューを多数取り揃えておりますし、よろしければぜひぜひご来店くださいね♪



カランカラーン
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました♪当店秘蔵の裏メニューでございます」
「…」






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