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ペンギン式恋愛マニュアル



平和な世界におけるちょっと壊れ気味な船長とハートの海賊団のお話です。注意!





ある日俺が一人で朝食をとっていたところ、隣にどかんと座ってきた船長が「俺は人間としての魅力がねぇんだろうか…」と何の前置きもなく突然にそう言ってきたので俺は飲んでいたコーヒーを派手に吹き出しそうになってしまった。

「お、お薬出しときますね」
「まてペンギン。医者は俺だ」
「ですよねー」

どこか失意のどん底のような場所にいて、しかもこんなおかしな発言をする船長ではあったがツッコミのキレは健在であった。それならまだ大丈夫そうだな…と思い、けれど何で俺なんかにそんなことを聞くんです?という問いに対して
「お前はこの船の恋愛アドバイザーだそうじゃねえか」
…と、船長がこそこそ言ってきたときはやっぱり何等かの薬を処方したほうがいいんじゃないかと思ってしまった。ソレ宴会ノ席デ冗談デ言ッテミタヤツデスヨ!!
というわけで、我らが船長いよいよヤバい!と気付かされたわけであるのだが、そう言ってしまう原因については発言の内容によって容易に解読することができた。ルカ絡み、というヤツか。そうなると思わずブフッ…と苦笑なんかしてしまって、すると船長が何笑ってやがる…と言わんばかりの鋭い目つきを向けてきたので慌ててゴホゴホン!と咳をすると俺は持っていたコーヒーのカップをソーサーに置きつつ「イエス!俺名アドバイザーッス!」と言った。

「で、どうしたんですか?」
「ここだけの話…なんだが。実は俺は……ルカが好きで…」
「…ウッ」
「どうした?」
「いえ!」

思わず笑い出しそうになってしまったのを必死で堪えていると、船長が訝しげな瞳で小さく俺を睨んだので慌てた。ここだけの話…じゃないスよ!もう皆一人残らず船長がルカを好きだってこと、随分前から知ってるんスよ!!…そう心の中で彼に突っ込みを入れながら「はは初みみみ耳です」と苦しい発言をしながらその場はやり過ごした。
その後いやぁ驚きですまったく知りませんでしたそうだったんですね…を装って船長の話を聞いてみた所によると、随分前から自分はルカが好きであり(大丈夫!俺ら全員知ってるッス!)、日々その気持ちを遠回しであるがアピールし続けていて(その努力には日々涙してます!)、けれど彼女にはそれらが一向に届くことがないものだからついに自分自身の魅力について疑い始めた…という事らしい。

「でも船長、前にニュースクーの特別企画この船長にならついて行きたい!攫われたい!魅惑の海賊トップ10≠チてやつで上位とってたじゃないスか」
「うん?んー……そうだったな」
「なら魅力は十二分にあるってことですよ!」
「…」

自信喪失気味の船長に、そういえば昔そんな妙な特集記事があったなぁなんて思い出して言ってみると、小さくではあるが彼が素直にニヘ…と笑ったのでまた俺は笑いそうになった。…そうか、船長、本当は嬉しかったのか(それを手にした当初は『くだらねぇ』って言ってすぐさま破り捨てていたからさすが船長!最高にクール!…と思っていましたが!)。
が、船長がニヘッとなったのは一瞬で、彼はすぐに難しい表情を浮かべれば「待て…」と不満げな声をあげた。「あのランキングでは麦わらのほうが俺より上だった……」(しっかり内容を見ている!!)。そう言って眉間の皺を深くしている。彼にはその部分がどうしても理解できないらしい。俺はあー…と言いつつ頬を掻いた。

「まー、この世の中何だかんだで殺伐としてますからねぇ。麦わらの船長は楽しい系じゃないスか。投票者もミステリアスで怖そうな海賊(=我らが船長!)よりもそんな人間を好む傾向にあるんじゃないスか?」
「……そうなのか」
「ホラ…ルカも…」

俺はそう言いながら食堂にやってきたルカとその隣にいるベポをそっと指差す。二人は部屋へと入って並んでテーブルに座ると、徐にじゃんけんをしてあっちむいてホイ!≠何故かやり始め(謎すぎる二人!)ケラケラ笑っていた。
船長はそんな二人をじ…と怖いくらい真剣に見つめていた。「…アレを俺もすればいいのか?」「え!ウワッフォ!!ウグ!ウグググッ」「何だ…」「いえ!」。俺は爆笑しそうになるのを必死で抑え込む。ヤバイ、オレ、死ヌ!死ニソウ!船長ガアッチムイテホイトカマジヤメテ!!
…なので、もうこの話を無理やりでもやめない事には自分の身が危ない…と判断した俺は席を立ちながら言ってみた。

「と、とりあえず、麦わらみたいな人間を目指してみたらどうでしょうか?」
「…そうか」

いい加減すぎるであろうそのアドバイスに、ハァ?ふざけるな!…くらい言われるかと思いきや、あっさりと頷いて何か考え込みはじめた船長。俺は今にも崩壊しそうになる表情を必死で隠しながらぺこりと船長にお辞儀をすると急いでこの場から離れればすぐさま他クルー全員に緊急連絡事項を秘密裏に伝達した。


『今後一切の船長の行動を笑うべからず!!必ず、必ず!!温かく見守る事!!』


クルーは全員(あ、もちろんルカには伝えていない!)はそれに神妙に頷いた。…で、その直後こっそり皆で笑いまくった。
一応念押ししておくけれども、俺ら全員今腹を抱えて笑っている状態ではあるが、船長をしっかりと心の底から敬愛しているのもまた事実である事は何卒忘れてくれるなよ♪何が言いたいかって、要は尊敬の仕方にはさまざまな「形」があって、俺たちはその中で一番最良と思われる事を常に選択している…ということなのだ!さあ、これからどんな事が起こるのやら。




そしてその数日後たどり着いた新しい島にて船長が何故か麦わら帽子を購入してきたという事態に俺ら船員は全員死にそうなったしシャチは爆笑しかけたのを誤魔化すためなんと海に飛び込んだしベポは無邪気に「似合わないよ!」って言ってるしルカは「イメチェンマジありえない…」って嘆いて船長はそれに死ぬほどショック受けてる。




**
リク作品なり損ね。



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