幸村と寝る
※幸村が一人暮らししてる設定
「…精市…」
突然インターホンが鳴ったと思ったら、モニターに映った彼女を見て俺は目が覚めた。
彼女の風祢は夜あまり出歩いたりしないし一人で家に来ない。どうしたのかと少し不安になり、玄関を開けて彼女を迎え入れた。
「…どうかしたのかい?」
そう聞くと、風祢はふとこちらを見上げた。
「怖い夢、見たの」
「怖い夢?」
「駅まで行くバスの中で、ほんの数分だけど…怖い夢見たから、…」
怖い夢をそんな一瞬で見れる彼女に少し驚いたが、最近いろいろと忙しいらしいし疲れによるものだろうと自己解決させといた。
風祢があまりに涙目で訴えてくるからつい愛しく思い、そっとその身体を抱きしめてみる。
普段なら驚いて抵抗するのだが、今日はやけに大人しい。つまらないなと思う反面、本気で可愛いと感じた。
「ね、精市」
「ん?」
「…精市は、私と別れたいって思う?」
「…あぁ、怖い夢ってそういうこと?別れる夢見たのかい?」
「…うん」
ぐりぐりと額を胸板に当ててくる。そっと頭を撫でてやると、気持ちよさそうに少しだけ力が抜けていくのが分かった。
「別れたいとか、思うわけないよ」
「ほんと?」
「ほんと。さ、とりあえず…一緒に寝よう?そしたらきっと、いい夢が見れると思うよ」
そう言うと風祢はうん、と小さく返事した。
俺はそっと彼女をベットに寝かせ、そっと抱きしめる。額に小さくキスを落とすと、くすぐったそうに彼女が笑った。
「…おやすみ、」
「おやすみ」
あぁ、思わずにやけるじゃないか。