宮地に告白される
その人はきれいな金髪で、ちょっと怖いけどとても優しい人だ。
私が困ってたら笑いながら結局は助けてくれるし、前も参考書忘れた時にわざわざ隣のクラスの友人から借りてきてくれた。
周りの皆は怖いけどカッコいいから鑑賞用のイケメンとよく言う。私もどちらかと言えばそんな感じなんだけど、最近は違う。
近くにいたい、と。思うのだ。
少しだけでも触れたくて、二人の時間をどうにかして作れないかと考え、とりあえずこれが恋だと実感するのに時間はかからなかった。
……けど。
「好きです、付き合ってください」
何でこうなったのか。
宮地を探してたらまさかの告白現場に遭い、正直……帰りたかった。
けど、気になる。
「あー…ごめん、俺、好きな奴いるんだよ」
宮地はそう言った。
何だ好きな人いるんだと私はその場からそっと離れた。やっぱり宮地にもいるよね、うん、きっと美人なんだろうな。
好きな人が、好きな奴いると言っただけでこんなにも不安になるのか。
心がぐるぐるしてきた私はしばらく歩いてからその場にしゃがみこんだ。
ポタポタと誰もいない渡り通路のコンクリートを濡らす。こんなはずじゃ、なかったのに。
「……っ、おい!舛添!」
幻聴かと思った。
突然体が浮いたと感じるほど強い力で引っ張られ、私はその声の主に倒れ込んだ。
顔を上げなくても分かる、高い身長にこの声。宮地だ。
「……みや、じ」
「どうかしたのかよ、体でも悪いのか?」
「違う、……宮地が悪い、」
「……は?」
一瞬で声が不機嫌になった。
でも、本当だもん。宮地が悪い。
「好きな人、いるんでしょ」
……しばらく沈黙。
そして突然、宮地はくすくすと笑い出した。
「……?」
「聞いてたのかよ、ていうか……はは、相変わらず舛添は面白い奴だな」
「う、るさい……」
そう言ってキッと彼を睨む。が、宮地は涼しい顔をして、そしてにやりと笑った。
「可愛い嫉妬してんじゃねーよ」
「ーっ、!」
「余計に惚れるだろうが」
そう言い、宮地は私の額を軽くデコピンしてきた。地味に痛い。
段々恥ずかしくなってきて、とりあえず宮地から離れようと後ずさり。ついでに顔を背ける。もうやだ本当に恥ずかしい。
「……逃げんな、」
ぐいっと引っ張られて私は再び彼の胸元に飛び込んだ。
「舛添が好きだ、付き合ってください」
ふわりと抱きしめられる。あぁ、宮地の匂いがする。
私は無言で頷き、ゆっくりと彼を抱きしめ返した。