現実が残酷な件について
学校で一番モテるこの先輩が中二病ならあなたはどうしますか?
そんな本が書けるのではと言いたいくらい、この氷室という先輩はやばい。
誰も入れない屋上に来てわざわざ魔法陣描くかなフツー。うん、フツーじゃない。知ってる。
チョークでがりがり書き始めた先輩をよそに私は弁当を食べる。特に会話は無い。今話しかけたら「止めろ…俺は今、神からの力を浴びているところなのだ!」と言われる。前に言われた時は思わず「太陽光線ね」って言ってしまった。
「久田さん!」
「何でしょう」
「見ててね、今からいいやつ召喚するから」
さていいやつなんて召喚出来たら苦労しないと思うけど。
そう思って私は弁当を食べ終えてその様子をしばらく観察することにした。
「…我、異世界との鍵を持つ者…」
「……」
「汝その声に応え我を真(まこと)の道へ誘え!」
「……」
「……」
しばらくして氷室さんはため息をついてこちらを振り返った。
「ダメだったよ、」
「でしょうね」
「残念だ…」
本当に残念そうにしている。イケメンだからかこういう時思わずドキッとする。けど彼は中二病である。重要。