世の中うまく出来てる件について
私がいれる時間が限られてることから、とりあえず国語を優先的にやることになったわけだが。
「……紫原くん」
「何ー?」
「ちゃんと出来てるんだったらこれを本番で発揮しなよ……」
そう、意外と出来るのである。
正確にはちゃんと覚えたら、という言葉がくっつくが、これ本番のテストでやってたら追試なんてしなくて済むのにと私は苦笑した。
彼はえーだってさーと口をとんがらせて文句を言う。
「俺勉強嫌い」
「でもそのおかげで大会出れるかどうかの危機に直面してるんでしょ」
そう言うと彼はふいっと横をむい向いた。子どもかよ。
「久田さんが教えるの上手いだけだよ」
「…そうですか?」
「うん」
にこりと笑う氷室先輩。実に爽やかだけど私は騙されない…騙されないからな…。
「ところでよー久田さん」
「?何でしょう福井先輩」
「…よくここまで来ようと思ったよな…無理を言っといてあれなんだけどよ」
「ま、まぁ…確かにそうですけど…。事実暇でしたし、これで紫原くんが少しでも勉強してくれることを祈るばかりですけどね」
「ち、ちゃんとしてるじゃん!今!」
「うん、だから凄いと思うよ?」
まぁでも実際凄いとは思う。
バスケ部のことだしそもそもの部活の量は違うはず、そうなると勉強する時間無いんだろうな。
とまぁそういうわけで素直にそう言ったのだが、ふと紫原くんを見ると…気のせいか鼻の頭が赤い、気がする。
「あれ、紫原くん…風邪?」
「は?」
「いや、鼻の頭が赤い…けど」
そう言うと彼は黙りこくって顔をうつ向けてしまった。しんどいのかな…。
「久田さんあまり彼をいじめないであげて」
「え、そんなことしてないですけど…」
先輩たち、にやにやしてる。
何でこうなったのかさっぱりであった。