追試な件について




秋田に戻ってきた私を待っていたのはテストという現実だった。

中の上くらいだしまぁそんな気にすることも無い。私はいつものようにマイペースに勉強し、そして普通に点数を取っていた。

が、今回少しいつもと違うことがある。



「…あ、いたいた」

「えーっと、福井先輩?…それと紫原くん?どうしたんですか?」



珍しい組み合わせだ。福井先輩と紫原くん。どうしたのだろうか。

そう思っていると、福井先輩はおもむろに紫原くんの背中を叩いて私の前にやった。

背が高い彼の顔を見るのも一苦労だというのに。首が折れそうである。



「…えっと、どうしたの?」

「…テスト」

「へ?」

「テスト、俺追試決定したの。教えてください」



彼はそう、言った。

あまりに突然のことで私は彼を凝視していると、彼は顔をムスッとさせて言った。



「ねー、返事は?」 

「へ?あ、えーっと、科目は?」

「ほぼ全部だ」



横から福井先輩が付け足した。

どうやらバスケ部を言い訳に勉強しなかったらしく、5教科で赤点、追試が決定したと。

しかもその追試も監督の配慮で40点取れば許してくれるそうだ。それを配慮と取るかどうかはまた別の話だが。



「で、久田さん、確か国語得意なんだよな?教科毎のトップ5に入ってるの前見かけて」

「あー、いやまぁ確かに好きではありますけどあれはたまたまですよ」

「それでもいいぜ、少なくともこいつよりマシだ」



福井先輩はそう言って紫原くんを指さした。



「明日勉強会やるから良かったら来てくれよ、放課後に男子寮のロビー集合な」

「…私女の子ですけど」

「安心しろ、氷室に久田さん迎えさせるからその時にちょいと、な」



…悪い顔だ。

けど何かごめんなさいとは言えず、結局私は首を縦に振ってしまった。


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