▼ 「ごめん」じゃなくて、「ありがとう」がいい
海みたいだと君が言うから、海になった。
星の無い夜空のようだと君が言うから、それならばと闇夜になった。
何に例えてもやっぱり何にも敵わない。
僕の色を何度も綺麗だと君が言うのに、そうならないのは何故なんだろう。
そう思えないのは、己に課した呪いの所為か。
普段自分のことを信じられないと嘆く癖に、肝心なところで君のことを信じられない弱さが憎い。
それでも君は、綺麗だと言うから。
言葉だけでなく表情で、仕草で、眼差しで。
しつこいほどに僕の色を褒め称えるから。
それがいつしか呪いにも似た魔法になって、僕の傲慢な弱さを塗り潰してくれることを期待してしまっているのだ。
弱くてごめんね。
甘えていてごめんね。
だけどもう少しで、好きになるから。
きっとなってみせるから、もう少しだけ待っていて。
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