mitei Pretender | ナノ


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あの告白から二週間くらい経っただろうか。俺は漸く彼とのお付き合いに慣れ始めていた。

初めは気になっていた周囲の視線も段々減っていき、今では二人だけの時間も普通に楽しく思える。

一緒に登下校してお昼を食べる以外に特別なことは何も無いが、健全な高校生のお付き合いってこんな感じなのかなぁ。

だけどやっぱり不思議なことがひとつ。

恋人とやらになって日が浅いからかも知れないが、何というか…彼は一切俺に触れて来ない。手を繋いだりとかも無い。普通の恋人のペースなんて分からないけれど、これじゃあ恋人というよりまるで本当に友達同士のままみたいだ。

や、別に触って欲しいとかじゃないんだけど。決して。

いくら彼の方から告白してきてくれたとは言え、容姿端麗で誰からも好かれる人気者が俺なんかを選んだ理由がやっぱりまだ分からないし、もしかして付き合ってみてから彼も後悔しているのかも知れない。

そりゃそうだ、今までまともに話したことすら無かったもんな。

…別に、ショックとかじゃないけどさ。

「大丈夫?もしかしてどっか体調悪いの?」

「え!いやいや大丈夫。ちょっとぼうっとしてただけ」

こうしてこまめに俺の変化に気付いては、いつも心配してくれる友人。
本当に良い奴だ。何だか俺、自分のことばっかりで申し訳ないなぁ。

…本当に何で、俺なんだろう。

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