mitei Pretender | ナノ


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S君とお付き合いを始めてからというもの、生活ががらりと変わった気がする。いや、確実に変わった。

まず周囲の目。

始めは「何であんな奴が」という訝しげな視線があちこちから突き刺さっていたが、知らない内にそれらは段々と好奇や羨望の眼差しに変わっていった。俺とS君とじゃ釣り合わないことなんて周知の事実だが、俺ではなくてS君の方から猛アプローチがあったというのもまた周知の事実なのだ。その原因を突き止めるべく、一体俺の何処がS君のお眼鏡にかなったのか観察する女子まで現れた始末だ。
流石に俺の仕草まで真似しようとする女の子が出てきた時は驚いた。けれど同時に、彼女らがそれくらい必死になる程彼はモテるのだということも痛感した。

次に変わったのが、登下校の相手。
今まではずっと友人Aと登下校を共にしていたのだが、今ではS君と一緒に登下校するようになった。別に約束した訳ではないのに朝は道の途中で待ってるし、帰りはわざわざ教室まで迎えに来てくれる。恋人…なんだから当然のことなのかも知れないけれど、つくづく律儀だなぁと思う。

それから、昼飯を食べる相手も変わった。
今まではこれまた友人Aと二人っきりで教室の隅で食べていたのが、今では昼休みごとに迎えに来るS君とに変わった。すまない友人A。

食べる場所はというと日によってまちまちで、空き教室の時もあれば天気の良い日は屋上や中庭、後は階段の踊り場などで食べたりもする。

何せ何処に居ても目立つ彼のことだから、人の多いところはなるべく避けていた。俺とS君が付き合っていることは今や学校中に知れ渡っていたので今更隠すようなことも無いのだが、それでも俺に向けられる女子達の視線は絶えずS君がそれに配慮してくれたのだ。

流石に休み時間ごとに俺に会いに来るなんてことは無かったが、俺の学校での時間は確実に彼と過ごすことが殆どになっていた。

それにしても俺の友人は、俺が居ないと今頃一人で居るんだろうか。何だか申し訳なく思いつつ、俺は今日も教室まで迎えに来たS君と下校した。

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