mitei 【藤倉くん】ダイアログ集 | ナノ


▼ 続・口実の話

「今週の土日は確か運動部の試合は無いし…予定は無かったはず…」

『あのさ、今週、』

「………うーーーん、ちがう。そもそも桃好きかどうか聞いてみて…」

『突然だけど、桃好き?』

「ダメだ、突然すぎる…。澤くん桃好きだっけ…嫌いではなかったはず…」

『突然だけど、桃』

「桃…もも…。あぁー…。あっ!やべぇ間違えた!違う違う、あぁちょっ、」

『もしもし藤倉?どうした?』

「も、もしもし藤倉です…」

『ホントにどしたんだ?大丈夫か』

「だいじょうぶ…。ゴメン、こんな時間に」

『別に全然いいけど、お前から電話なんて珍しくてちょっと焦った。何かあったのかと思ったよ』

「いや本当に、大したことじゃないんだ。ただ普通にメッセージ送ろうとしてて、間違えて通話ボタン押しちゃっただけで…ごめん」

『何で謝んの?ふはっ、お前でもそんなことすんのな』

「や、まぁ、うん」

『…やっぱり何か元気ない?』

「あるある!めっちゃあるよ!?」

『そうか?ならいいけど』

「あのさ、澤くん」

『んー?』

「突然だけど、桃…好き?」

『桃?うん。すげー好きだよ』

「………」

『藤倉?なぁおい、お前本当に大丈夫か?』

「だいじょうぶ、うん。そっか、好きか…よかった」

『で、桃がどうしたんだ?』

「実はさ、その」

『うん』

「………今週末、うちに来ない?」

『えっ、お前ん家?いいの?』

「うん。その…母さんがね」

『…うん』

「お隣さんから桃を、たくさん貰ったらしくて。お裾分けしたいみたいなんだけどその、澤くんが面倒なら全然俺が届けに行くし、何なら宅配便で」

『落ち着け落ち着け、何言ってんだお前』

「そうだよね、ごめん」

『行くに決まってんじゃん。お土産何がいいかな?藤倉の母さんに会えるの久しぶりだなぁ』

「来てくれるの?」

『行っていいならもちろん』

「本当にいいの」

『え、何かあるの…?行っちゃダメ?』

「いいや、すごく嬉しい…」

『別に今までだって何回も行ってるのに、大げさだなぁ』

「そうだね、そうかも。でも何回でも嬉しい」

『俺も。誘ってもらえてすごい嬉しい。藤倉の母さんにもお礼言っといて。お土産何がいいかも聞いといて』

「何もいらないのに」

『いいの。俺が持ってきたいの』

「ホントに律儀なんだから…」

『なぁ』

「うん?」

『いや、ありがとな』

「うん」

『また今度俺からも電話してい?』

「え」

『嫌なら全然、』

「お願いします!」

『声でっかいよ。ふふっ、分かった。じゃあまたな』

「うん」

『………』

「………すげー、すき」

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