「………はぁ」

「おかえりなさい」

「…え、うわっ」

「あらあら、帰ってきて第一声がそれ？」

「だって、いや…。た、ただいま…」

「ふふっ、普段あまり言えないものね。おかえり」

「ていうか今日、仕事は？」

「半休になったの。驚かせちゃったかしら」

「いや、別に…」

「あっ、そうそう！お隣さんから桃を頂いたんだけど、これがたくさんあってねぇ」

「…はあ」

「誰か食べるのを手伝ってくれたら嬉しいんだけど、いい人知らない？ちょうどあなたくらいの、食べ盛りの子がいいわね。連れてきてくれないかしら」

「それは、つまり」

「ね？お願い。また会いたいのよ、彼に」

「………分かった。聞いてみるよ」

「ありがとう。ねぇ、」

「ん？」

「学校は、楽しい？」

「………まあ、うん。すごく、たのしい」

「そう。良かった」

「じゃ俺、部屋行くから」

「はぁい」

「…母さん」

「なぁに？」

「や、その」

「ん？」

「あり、がと」

「ふふっ。腐るといけないから、早めにお願いね、一織」

「ん。分かったよ」

「本当に…良かった」

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