mitei Colors 5 | ナノ


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昼休み。またいつもの校舎裏で、いつものベンチに僕らは腰掛けていた。

「桃谷くん、今朝はその、」

「言っておくが、別に北村を助けた訳じゃない。あの件は俺が悪かったとはいえ、流石に北村のやり方には賛同しかねる」

「じゃあ何で」

「あのままでは茅ヶ崎、お前、自分のことも全て話す気でいただろう?」

「…うん。だってそうでもしないと緋色が」

「その北村が俺をこんなにしてまで守ろうとしたものを、お前自身が壊してしまって本当に良いのか?」

「あ…」

「いや、悪い。俺が言えた義理じゃないな…。あの事は全部俺が悪いんだ。茅ヶ崎、本当は俺なんてお前と話す権利も無いかも知れないが、」

「そんなこと…!」

「これだけは言わせて欲しい。本当に、悪かった。お前が嫌がる事はもう決してしないと誓う。お前のことも、勿論口外しない。…すまなかった」

「そんなに謝らないで、もう本当に大丈夫だから!それより、僕を…緋色を守ってくれて、ありがとう」

「別に頼んでないけど」

「こら緋色っ!」

校舎裏に居るのは僕と桃谷くん、そして緋色。ベンチに座る僕と桃谷くんの背後には、監視するかのようにずっと緋色が腕組みをして突っ立っていた。というか、三ヶ月先まで埋まってるとかいうお昼の約束はどうしたんだ緋色…。

「いいんだ。今朝のあれは俺の自己満足だからな」

「それでも助かったよ。あ、それより怪我は?!肋骨折れたって…入院って聞いたけど学校来て大丈夫なのっ?!」

「まだ心配してくれるのか…やはりお前は優しいな。だけどそれなら大丈夫だ。多少ヒビは入っていると言われたが、入院する程でもない」

「でもっ、」

治療代とか払わなくていいのかな?桃谷くんは大丈夫だって言うけど流石に何もしないっていうのは…。

「問題無い。北村の言った通りその辺の奴とは鍛え方が違うからな。…それより、茅ヶ崎。俺はまだお前に言わなければならないことがある」

「え、何…?」

「単刀直入に言う。俺はお前に恋愛感情を抱いている」

「………へ?」

後ろでガサッと、草を踏みしめる音がした。

「お前が好きだ。友愛じゃない。俺はお前のことを、…そういう意味で好いているんだ。自覚したのはほんの最近だが…。だから、あの時は抑え切れずあんなことをしてしまった。自分でも情けないと思っている」

「本当にね」

「え、ちょっと待ってちょっと待って。え、え?れんあい、かんじょう?誰が?」

「俺が」

「聞き間違いじゃなければ、ぼ、ぼぼく、に…?」

「ああ。茅ヶ崎にだ」

「え、なん、で…?え?あ、ていうか僕一応男だよ…?」

「関係無い。俺はお前の、真っ直ぐなところに惹かれたみたいだ」

「まっ、すぐ…」

そう言って貫くように僕を見つめる黒い瞳は、嘘をついているようには思えなかった。

「もちろん、お前に何か求めたりはしない。ただ俺があんな事をしてしまった明確な理由を、話しておこうと思っただけだ」

「桃谷くん…」

太陽が翳る。
伸びっ放しの草を揺らした風は、僕らの間を少し強く吹き抜けていった。

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