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「ごめんね紺、今日も一緒に帰れない」
「別にいいよ。約束があるんだろ?」
「…ごめん。晩御飯までには間に合うから」
「無理しなくていいよ。たまには友達と食ってこいって」
「晩御飯は、間に合うから。待ってて」
「そんな強調しなくても…。分かったってば」
最近緋色は忙しいらしく一緒に帰れないことが増えてきた。彼が忙しいのはいつものことだが、今まで放課後の誘いはほとんど断っていたのに急にどうしたんだろう。
…正直寂しいけれど、僕とばかり居るよりも緋色にとっては良いことなのかもしれない。というか、あれだけ友達がいるのだから放課後遊びに行くくらい普通のことだろう。
ただ、気になることがひとつ…。
緋色が忙しくなるのに比例するように、あの日から非通知の悪戯電話が確実に増えてきていたのだ。
本当は相談したいけれど、緋色は忙しそうだしなぁ…。言ったらきっとすごく心配させてしまう。緋色の負担になるのは嫌だ。
…桃谷くんに相談しようか。
いやいや、この前助けてもらったばかりでそれは厚かましい気がする。まぁ僕が無視していればいいだけの話だし、よくあることだろう、多分。
そうしてまた、僕のスマホは誰からか分からない着信に震えるのだった。
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