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サンタの存在なんて子供の頃から信じていなかったけれど、初めておれの本当に欲しいものを連れてきてくれたことには感謝してもいいかもしれない。
自身の身体に移した彼の匂いと温かさが消えないように祈りながら、やっと電気を点けた部屋で一人幸せを噛み締める。
たかが他人の誕生日だと思っていたのにこんなに嬉しいクリスマスは初めてで、やっぱりこの日は特別なものだったのかと実感した。
いや、彼の隣に居られる一分一秒がおれにとっては奇跡のようなものなんだけど。
あぁ。あんなことをされたらおれは、もっともっときみを欲しがってしまうよ。
「ふふっ」
…澤くんがおれのところに来てくれたから、澤くんの頭を撫でたことについては今回は大目に見てやろうかな。次はないけどね。
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