▼ 3.澤くんと違和感
またとある日の昼休み。
今日も何か用事があるらしく、背の高い彼は居ない。俺は今日は別の友人たちと教室で昼飯を食べていた。
「藤倉くんいなくて寂しいんだろー?素直になれよっ!」
そう言うと友人は正面からガバッと遠慮なく抱き付いてきた。男子高校生のノリだ。周りからは「ぎゃはは」と笑い声が聞こえてくる。
球技大会の時みたいに、ぐしゃぐしゃと頭を撫でてくるやつもいた。
それはそれで楽しいんだが、こうもぐっと近寄られると何だか。
「ちょっ!抱きつくな気持ち悪いっ!」
…あれ?
「そんなに照れんなよー悪かったって!」
「照れてない!ポジティブか」
特に考えず、咄嗟に発した自分の言葉。
それが何故だろう。何か、ひっかかるな…。
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